
2日間にわたる米中首脳会談は、「新たな協力関係」の演出とは裏腹に、オバマ大統領が中国によるサイバー攻撃や人権抑圧を取り上げて改善を迫るなど、価値観が異なる両国の隔たりを改めて浮き彫りにした。
「米中間には緊張を避けられない分野もある」
オバマ大統領が7日の共同会見で語ったように、習近平国家主席の就任後間もない時期に設定された今回の会談は、こうした分野でしっかり中国側にくぎを刺しておきたいとする米側が仕掛けたものだった。
米国内では中国を発信源とする組織的なサイバー攻撃を前に、有効な対抗策を打ち出せないでいるオバマ政権に批判の矛先が向かっており、こうした国内世論をかわす狙いもあった。
オバマ政権はまた、首脳会談の直前になって、米国家安全保障局(NSA)がテロ防止を目的に、通信会社の回線を使い電話通信記録を収集していたことが発覚し、プライバシー侵害との批判にさらされている。
それだけに、オバマ氏としては、米情報機関が行っていたテロ防止のための情報収集と、中国によるスパイ行為は次元が異なることを強調する必要にも迫られていたといえる。
ただ、米大手シンクタンク「ヘリテージ財団」のディーン・チェン研究員は、オバマ政権の対応を
「あまりに楽観的だ。中国の組織的サイバー戦略をまったく理解していない」と批判している。
一方、会談には習体制が続く今後約10年のアジア太平洋の安全保障を方向づける意味合いもあった。
中国は現在、南シナ海の内海化を図り、東シナ海では尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権の主張を強めるなど、挑発活動を活発化させているためだ。
「太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」
会見でこう言い放った習氏の狙いは、資源を求めて遠洋海軍の建設などを進める中国の拡張路線を米国に認めさせることにある。
外交・安全保障の新戦略であるリバランス(軍事力の再均衡)を打ち出しながら、習氏にこうした発言を許したのはオバマ氏の失点だ。
冷戦終結後、新たにゲーム・チェンジャーとして台頭してきた“異形の大国”にどう向き合っていくべきか。
2期目のオバマ政権は必ずしも明確な道筋を描けていないようだ。
2013/06/09
[AP]