日印の接近は中国を益する | already read‐news。ο

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久遠寺NEWS-india-japan-usa-flag.jpg
米国など西側諸国のメディアを覗くと、インドのマンモハン・シン首相の日本訪問についての様々な見解が見受けられる。
たとえば、東京とデリーの接近の背景には、彼らと中国との間の領土紛争由来の緊張や、一体に中国の経済的・政治的・軍事的伸長ということがある、などと語られている。
この説を要約すると、すなわち「日本とインドは反中同盟を組もうとしている」ということになる。
しかし、パラドキシカルなことに、東京とデリーの接近は、実は北京の利益に適うのである。

一見、理屈に合わないようだ。
政治学者には既に余りに馴染みのことであるが、繰り返そう。

中国の旺盛な経済・政治・軍事的成長に危機感を覚えた米国は、旧来の同盟国である日本や韓国、オーストラリアにとどまらず、インドをも、中国抑止戦略に引き込もうとしている。

なるほど、軍事部門で日本とインドが協力を深めていくことや、安倍首相とシン首相の日印首脳会談で軍事部門について話し合われるなどのことは、中国抑止政策という大きなものの一部に位置づけられるように見える。

しかし、視点を移せばすぐに見つかるひとつの事実がある。

それは、日本とインドは中国のライバルでもあるけれども、中国の経済的パートナーでもある、ということである。
両国とも、中国の参加している統合プロセスに参加している。
北京とデリーはRIC(ロシア、インド、中国)やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)という枠組みの中で、決して悪くない関係をもっている。
加えてインドは、中国が主導する上海条約機構に何らかの形で参加することにも関心を示している。

一方日本は、中国・韓国とともに共通通貨・貿易・経済圏を構築することについて、交渉を進めている。

彼らの「引力圏」は互いをそう強く結び付けてはいない。
しかし、「引力は孤独ではない」
それは、これら幾多のフォーマットが、共通の利益と共有されたゲームのルールをもつ現実の統合形態に変貌する蓋然性が「孤独でない」のと同様である。
変貌の過程には、領土紛争の存在や、歴史的な禍根といった、障害がある。
加えて、誰とはいわないが、世界政治・世界経済のアリーナに、新たな「プレイヤー集団」が現れることを望まない誰かが、この集団の結成に直接的・間接的に関与する者らに対し、特典をちらつかせて、まったく別の同盟に加わるよう誘惑してくるかもしれない。

しかし、それでも、統合へのプロセスは進んでいく。
将来の多極世界の中の一極となるであろうこれら統合体は、細かな点については不明瞭な点が多いけれども、既に輪郭というものが見え出している。

統合体が安定的で効果的なものとなるためには、参加各国の平等および国益の相互的尊重という原則が必要不可欠である。
世界の覇権などというものを求めさえしないのであれば、どの国にも受け入れられるはずの原則である。
インドもブラジルもロシアも、中国でさえ、今日、世界の覇権を狙ってなどいない。
日本については言うにも及ばない。

であれば、いま世界各地でその構築に向けて作業が行われているところの「統合体」には、理屈の上ではどの国も参加可能なのだ。
米国についてもそれは言える。
もしもワシントンが、世界のリーダーというステータスを失うことを甘受するならば。

安倍・シン会談も、それぞれに主観的な目的・課題がありながら、客観的には、多極世界の構築へと向かう人類の道の一歩なのである。


2013/05/29
[The Voice of Russia]