
「日本がミャンマーをめぐる中国・米国との戦いを加熱させている」と極東研究所日本研究センターのワレーリイ・キスタノフ氏は見ている。
5月24日現在、三日間の日程で、安倍晋三首相がミャンマーを訪れている。
また、日本企業の代表者30人もこれに同行している。
彼らはミャンマーに、地政学的目論見を込めて、新たなる経済的「杭」を打ち込もうとしている。
ワレーリイ・キスタノフ氏はそうみなしている。
安倍首相の訪問は、米国がミャンマー重視を強めつつあることを背景に行われる。
昨年11月、初の米国大統領によるミャンマー訪問が行われた。
そして今月20日には、既にホワイトハウスをミャンマー大統領テイン・セインが訪れるまでになっている。
安倍首相は1月上旬、麻生太郎副首相の最初の外遊先として、ミャンマーを選んでいる。
内閣の枢要な人物によるミャンマー訪問は、数十年におよぶ制裁明けの、日本とミャンマーの関係の「リハビリ」を象徴するものとなった。
すべてのはじまりは、軍政から民政への移管である。
東京は、あたかも米国の通った道をたどり直そうとしている。
いま安倍首相は、オバマ大統領のやり口に倣い、独裁制から民主制への移管に対する「ご褒美」として、日本の実業界とミャンマーとの関係を拡大させようとしているのだ。
しかし、それは見かけ上のことに過ぎず、真意は他にある、とワレーリイ・キスタノフ氏は述べている。
「実際には、地政学的・経済的利益の追求ということがある。すなわち、中国の影響力への抑止力ないしカウンターウェイトとしてミャンマーを支援する、という狙いがある。日本は米国の近しい同盟国として、ワシントンが許可を出すまでは、ミャンマーとの協力について何らの手だても打たなかった。いま米国は、アジアへ軸足を移すことを明言している。これを踏まえて日本もまた、アジアにおける地位を確固たるものとしようとしている。安倍首相にとってはミャンマーの中に中国に対するカウンターウェイトを持つということばかりか、ミャンマーと中国の経済的な結合を阻むということも、非常に重要なのだ。安倍首相はアジア諸国との経済協力発展に力を入れ、それをもって国内の不況を脱するテコとしようとしている。そしてミャンマーはたしかに、展望の明るいパートナーなのだ」
さらに来週、インドのマンモハン・シン首相が東京を訪れる。
安倍首相はおそらく、日本経済活性化のために、インドの実業界を引き込むことをも目論んでいるだろう。
そうしてその反面にもやはり、中国包囲網の構築という東京のしたたかな狙いがあることだろう。
一方の中国は、文字通り、ミャンマーからインドを「押し出そうと」している。
つまり、ミャンマーの中にある歴史的なインドの影響という側面を廃絶しようとしている。
安倍首相は、自身のミャンマー訪問を、ミャンマーの中のインド人たちに、「日本は中国の影響力に対するカウンターウェイトを置こうとしている」、という印象をもたらすものにしようとしている。
しかし、ミャンマーにおける中国のポジションを帳消しにすることは困難である、とキスタノフ氏は考えている。
「事実上、ミャンマーは、東アジアにおける中国の経済活動の支柱のひとつなのである。ミャンマーのインフラ整備を手伝いながら、中国は、石油やガスを狙っているのだ。米国の管理下にあるマラッカ海峡越しでなく、ミャンマーの大陸部分で資源を採掘する可能性を手に入れようとしているのだ。さらに中国はミャンマーに港湾を建設している。中国が海洋大国に変るために、戦略的観点から非常に重要な施設を」
日本の大資本による強力な政治的支援がミャンマーに流入しようとしている。
どうやらミャンマーは深刻な地政学的「戦場」になりつつあるようだ。
莫大な利益をめぐる闘争である。
巨大な天然資源、巨大な消費市場、そしてアジアの地図の中にミャンマーが占める、そのユニークな位置。
2013/05/25
[Russia news]