安倍政権:中国包囲 露印と共闘 | already read‐news。ο

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久遠寺さん-1347892415385.jpg
オバマ政権がアジア回帰のピボット(軸足移動)政策を打ち出しても、中国は口先だけとみて南シナ海でも東シナ海でも「力による支配」を緩める気配がない。
世界最強の米国もなめられたものである。
そんな折に、安倍晋三首相はロシアから北回りの首脳外交を進め、日米同盟の土台の上に、もう1本の筋交いを通して安全保障の強靱(きょうじん)化をはかった。

安倍首相はすでに、今年1月にベトナム、タイ、インドネシアの東南アジアを歴訪して、中国が南シナ海でふるう腕力に対して「法とルール」で立ち向かう決意を示していた。

昨年末に国際NPO団体のサイトに寄稿した英語論文「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド」では、「豪州、インド、日本、ハワイ(米国)がダイヤモンドを形成してこれを守る」と宣言している。

日本にとり重要なのは、北のロシアと南のインドとの提携である。
中国が心置きなく海軍力を増強してこられたのは、南北の大陸国家からの脅威が薄れてきたからである。

今回、安倍首相が訪露した背景には、ロシア側により大きな理由があった。
極東アジアに対する中国の影響力の拡大である。
2010年2月の「ロシア軍事ドクトリン」で、欧州で紛争の可能性は低下したが、極東アジアでは「一連の正面においてロシアへの軍事的脅威が増大している」と表現していた。
「一連の正面」とは、4300キロの国境をもつ中国である。
プーチン大統領の就任直後の大統領令でも、外交は「アジア重視」であり、軍事は「海軍重視」にシフトしていた。
ロシアは、今年3月に中国の習近平国家主席が訪露した際も、対日戦勝利の「歴史認識を共同宣言に書き込もう」との申し入れをやんわりと拒否している。

安倍政権の外交チームは、この中露の仲たがいを見て素早く動いた。
安倍首相は首相として10年ぶりの公式訪露につなげ、北方領土交渉の仕切り直しを宣言した。
プーチン大統領が昨年3月に柔道に擬して北方領土の「ヒキワケ」と、北方四島の分割解決論で誘っていた。

しかし、ロシアが終戦後に北方領土を奪取した事実は消えず、四島一括返還がない限り真の日露和解はありえない。

安倍首相は隔たりの大きい北方四島の返還交渉を続けるとして、むしろ、ロシアとの外務・防衛閣僚会議(2プラス2)創設で対中牽制(けんせい)に重きを置いたのではないか。
これまでの「2プラス2」は、米国や豪州という同盟国級との間にしかなく、3つ目が平和条約も結んでいない準敵国である。主要敵を前にロシアン・カードを切った。

ちょうど同じ頃に、小野寺五典防衛相が訪米して、ヘーゲル国防長官と初会談を行い、尖閣諸島に対する米国の関与で合意を引き出していた。

もっとも、安倍政権はプーチン大統領のロシアに心を許すべきではない。
ロシアもまた、日本を天然ガスの有力売り込み市場と見ており、対中牽制のカードに使っている。
状況が変われば、カードを変える国益のリアリズムである。

南のインドは、今月末にもシン首相が来日する予定で、彼らが導入を目指す新幹線や、原子力協定などを協議する計画だ。
安倍政権はインドとも「2プラス2」政策に踏み切るか。
中国に3方面作戦を強いる戦略であり、インディアン・カードは価値が高い。


2013.5.8,
[共同通信]