昨日は帰宅電車で沖方丁著『天地明察』 を再読して大泣きしてしまいました。
マスクしてメガネして分厚い本(私が持っているのはハードカバーなので)を右手に持ち、左手にはハンドタオルを握りしめながら泣いている私はさぞかし気持ち悪い人と化していたでしょう。
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恒川光太郎著 (新潮文庫) 『草祭』
あらすじ:たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。理由も分らずたどりつく、この世界のひとつ奥にある美しい町“美奥”。母親から無理心中を強いられた少年、いじめの標的にされた少女、壮絶な結婚生活の終焉をむかえた女…。ふとした瞬間迷い込み、その土地に染みこんだ深い因果に触れた者だけが知る、生きる不思議、死ぬ不思議。神妙な命の流転を描く、圧倒的傑作。 |
こちらの本は、行きの通勤電車の中で読みました。立ちっぱなしの通勤電車もあっと言う間!顔を上げたらすでに降りる駅に到着しており慌てて降りた次第です。
すごーく良かったです。あの世とこの世の境目にあるような、懐かしさに溢れる不思議な幻の町”美奥”。
短篇なのですが、どれもこれも読んでいると、冷たい小川のせせらぎや草花の揺れる様子、路地を通り抜ける風が感じられてちょっと切なくなって泣きたくなりました。
1つ1つの話しの中で語り手は変わっていくけれど、少しずつ繋がっていてそれを「おや?確かこの人は!」と思いながら読みすすむのがとても楽しかったです。
けものはら/屋根猩猩/くさのゆめがたり/天化の宿/朝の朧町
の5編ですが私が好きなのは「屋根猩猩」と「朝の朧町」です。
屋根猩猩は、迷い込んだ女の子が守り神になるお話。自分の存在にいまいち自信がない感じの女の子が美奥に触れることによって、守り神になる。というお話(あ、全然説明になってないですな。)
お話の最後に、自分が守り神になったことをストンッと受け入れる女の子の感じがなんか、本当にイイのですよ!!!
ラストの 朝の朧町 は美奥が崩壊していくお話(あれ、これネタバレだ。スミマセヌ)なのですが、多分その人にとっての美奥は崩壊しても、違うひとにはまた違う美奥があるんだろうな。と思わせる最後でした。
読んでいる途中から「なんだろ。なんかでこういう雰囲気の話を読んだことある。えーと、えーーっと、、なんだっけ???」とずっと疑問だったけども解説を読んで謎が解けました!遠野物語だ!!!
昔の人には当たり前に受け入れられてきた場所。現代ではもう忘れ去られてしまったり、存在を確かめる人もないけれど確かにあった場所。もしかしたら忘れ去られただけで今でも存在しているかもしれない。
そんな、この世から薄い膜一枚の場所にある”この世ではないどこか”にそっと掌で触れたような一冊でした。
