もう3週間も経ってしまって、すっかり記憶が薄れているわけだが…

公私ともに多忙クラクラでブログを書く余裕(主に精神的な)がなく汗今日に至ってしまった。

本番の日は前日ゲネからの不調を引きずったまま、さらに悪いことに右下奥歯の歯茎が痛い。こんなに調子が悪いのも珍しい。
自分の出来に納得がいっていないモヤモヤ感もあり、決して軽いとはいえない足取りでホールに向かった。

やはり馴染みのハコはいい。どのくらいコントロールすればよいかわかっているから気が楽だ。そうそう、今回はコントロール重視でいこうっと。調子の悪い時に無理してリキむと破綻するから…。

いつものごとく、我がオケはホールに入るとスイッチONヒラメイタ!
弦パートバイオリンはガンガン炎弾きまくっている。ごいすー迫力´Д`
いつもならVS負けじとブリブリ吹くところだが、ひたすら我慢言わザル
無理をせず楽に吹いてみて、録音を聴いてフィードバックする作戦に出た。
1階席最後列にレコーダーをセットし録音してみると、吊りマイクのようなクリアさではないものの、きっと客席で聴いたらこんなふうに聞こえるんだろうなぁと想像できる、かなりいい音で録れていた。
結果、調子悪いぐらいで丁度いいということがわかった。

5分押しで2ベルが鳴り、ステージに出ると客席はほぼぎっしりで、500はいったと思われる。(後で集計したら542名だったそうだ。)
仕上がり具合に満足がいっていないのに、このお客さまの多さ´Д`急にプレッシャー´Д`を感じた。

<モルダウ>
出だし緊張からか硬さがみられたが、水源が合流するあたりから滑らかになり、弦が入って本流になるころには、いいグルーヴ感が出てきた。
森の狩人、ホルンはとてもいい感じになっているのにトロンボーンはハモりがイマイチ´Д`
そうかと思えば月の光は音量・アーティキュレーション・ハモりとも今までで一番良く(完璧ではないが)できた。前日のゲネでさんざん指摘されていただけに、ひと安心 ̄ー ̄
しかし安心したのもつかの間、急流のところで音をひとつ外して´Д`しまい、あたふた'_';としてしまった。ふだんこんなところで間違えたことないのだが…やはり本番にはオバケ魔物アクマが棲んでいる。
こんなときには失敗を引きずることなく素早く気持ちを切り替える~ことが重要だ。>
調子が悪いのとミスをしたことで、かえって冷静になれたようだ。滔々と流れゆく大河の部分も変にエキサイトすることなく演奏を終えられた。
自分の調子は良くなかったけれど、愛国心に燃えるボヘミアの香り漂う演奏になったと思う。

<ステンカ・ラージン>
冒頭のsoliは今までで最高の出来
主部に入っての「えいこーら」のテーマを本調子でないながらなんとかクリア。もう少し鳴らせるとよかったのだが…まぁ無理をしてぶっちゃけるよりずっといい。
しばらくいい調子で進んでいったのだが、ここにもオバケ魔物が悪魔棲んでいた。まさかのカウントミス×o×で落ちてしまった。
でもまぁ『飛び出しドンッ事故』よりはいいか…
これもミスったことで冷静になり、余計な力が抜けて良かったのではないかと思う。
それでも、お姫様お姫さま河にドボンのシーンではちょうどよく『バリッ』と決められたことだし、全体としてはロシアの匂いプンプンの熱い演奏ができたのではないかと思う。

正直、ここまではあまり楽しいとは思えなかった。まわりの演奏が素晴らしかっただけに自分のふがいなさTдTが身にしみた。
休憩をはさんで楽器をConn70Hにチェンジし、気分一新を図る。

<ライン>
1~3楽章まではお休みなので、ひな壇の上からじっくり鑑賞ウッシッシ
決して居眠りzzzなんかしていませんよ。念のため…汗
第1楽章
さあ、ライン河周遊の旅に出発船だ。
シューマンにしては珍しくゴージャスなサウンド。雄大な河の流れを思わせる。船出の♪♪うきうき♪した気分を味わうことができた。
第2楽章
農民の踊り--収穫祭--だろうか。のどかさの中にも力強さを感じさせる。
テーブルに並んだジャガイモ、ソーセージ、ライ麦パンやワインを想像してしまった。
ホルンがよくがんばっていた力こぶ
第3楽章
森を散策しているような癒しの世界にしばしトリップ…
クラリネットはじめ木管族が美しいアンサンブルを聴かせてくれた。
昔に比べるとスケルツォや緩徐楽章の演奏クオリティーが格段に上がっている
ので、聴き応え十分である。
第4楽章
さて出番力こぶ一転して舞台はケルンのチャペル大聖堂。
冒頭のコラールはもっと繊細さと神々しさが欲しかったところ。ちょっとフレーズの流れが滞っていた感じもあり残念。静かな祈りの声と浄められた魂が天に昇ってゆくイメージがうまく表現できていなかったように思う。
やはり難しい曲である。パート練習の不足が悔やまれる。
そのかわり祈りの声が重なってゆく3/2拍子の中間部は渋めの音色と程よいバランスで低弦の上に乗っかることができた。
祈りの声が静まると鐘の音というか神の啓示というべきか目の醒めるような金管の強奏。これはけっこうきれいにキマッたのではないか。
第5楽章
礼拝の帰り道、軽快でありながらもしっかりとした足取りで、神と共にある喜びをかみしめつつ歩んでゆく。演奏しながら不思議とポジティブな気分になった。
前半ほとんど休みでコーダになってやっと出番が来るのだが、リキむことなく自然体で高らかに晴れやかにフィナーレを飾ることができた
実に清々しい気分。ここで初めて楽しいと思った。遅いけど。

それはそれは盛大な拍手をいただき、調子の悪かった自分としては恐縮至極汗

静かに弦のトレモロが始まり、ホルンが♪♪レファ#ララー♪とやりだすと、お約束の拍手。そう、河といえば一番有名な『美しく青きドナウ』(通称「青ダニ」)である。ニューイヤーコンサートなら指揮者が振り向いてもう1回やり直すところだ。
実はこの曲、アンコールだからとかみんな知っているからとかいう理由でいいかげんにやってお茶を濁すのではなく、今までに例を見ないくらい時間をかけてこだわりぬいて練習を重ねてきたのだ。
あのウィンナワルツ独特の『ノリ』も、最初はどのくらいやっていいのかわからなくてずいぶん悩んだものだが、だんだんと体に染みついてきた気がする。
皮肉なことにアンコールのドナウが一番楽しく演奏できた。
そして、いただいた拍手も今回のコンサートの中で一番大きかった。

それにしても…
調子が悪いくらいでバランスがちょうどいいとはねぇ…´_`