ライトタッチとは?
2回目のジラウド訪問の際に福田氏から「もっと軽く弾けるようになると良いよ」とアドバイスを頂きました。
これを機に、それまでフルパワーでしか弾けなかった縦振動ピッキングを見直して行くようになりました。
とは言え、軽く弾くこと自体は出来るんですよ。力を抜く事はできるんです。
音量も下がりますが…。
う〜ん…。
何と言うか…「軽く弾くこと」と、今回指摘された事は何か違うんだろうな…とは思っていました。
その時は自分なりの弾き方で軽く弾いてはみるのですが、何か違う様な感じがしてました。
力を抜くだけではない、何か…。
いわゆるコツでしょうか。
力を抜いて弾くことに何か違和感を持ちつつやっているうちに、ある日「この感じかな?」と言う事があったりします。
福田さんが私に伝えたかった「軽く弾くこと」がこれかどうかはわかりませんが、こういう事ではなかろうか…と言う事を書きたいと思います。
指先のピッキングポイント
結論から書くと「指先の先端で振り抜く感じ」ですかね。
それまではピッキングする指先から1cm程度(指の腹とか言いますが)のところから弦を振り抜いていました。
このピッキングだと音色に「コンプ感」または「飽和感」が出るように私は感じます。
もちろん縦振動ならでわの「濃い〜音」です。ドンも出るしね。
それに対して、弦と指先の接触面積を少なくして縦方向へピッキングする意識で弾くと、結果的にそれほど力まずに弾ける事がわかりました。
音色もコンプ感も減り、よりジャズベースらしい音色も出るようになりました。
具体的な事を書くと「指を伸ばすけど力を抜いた状態で、指先でスッと押し込む様な感覚」です。
この文章では絶対伝わらない気がする
この弾き方なら行けそうな感じがしたので、しばらく続けてみたところ、慣れればそれなりに色んな事ができます。
初めのうちはコントロールが少しやりづらいけど、慣れると音色の幅が出せますね。
結果、打音も少し軽減しました。ですがまだ完全に消す事は難しいです。
とはいえ実際には問題にならないレベルですね。
もともとピッキングした際に出る打音が大きすぎる事が気になっていたので、これである程度解決しました。
練習環境について
話はかわりますが、練習環境についても気付いたことを書きたいと思います。
私は普段の練習では
ベース→エフェクター→DI→ミキサー→ヘッドホン(SONY MDR‐Z1000)
と言う感じでやってます。
集合住宅住まいの人には仕方のない選択だと思います。
さて、なぜこの話題なのかと言いますと…
【ヘッドホンの音だと「ドン!」は分かりにくくて、実際にベースアンプで出すと良くわかります…】
と言うお話です。
私が「ドン!」に気付くきっかけとなったことは、録音したベーストラックを単独でモニタースピーカーから聞いたことから始まりました。
ヘッドホンで「ドン!」が良く聞こえる様に弾くと、ヘッドホンでは環境的に分かりにくいため過剰に強く弾くようになっていた…と言うことですね。
スピーカーで出したら「ドン!」とか「バスッ!」が目立ちすぎて、肝心の音程感が分からないと言う結果になってました。
このことから、可能であればスピーカーを通した音で練習するのが「ドン!」のコントロールを身に付ける近道なのではないかと思います。
今だに私はヘッドホンでの練習が主なので、スタジオリハーサルで「ドン!」の具合を確認してます。
右手のタッチと機材
私の経験を少し書きたいと思います。
エレキベースでのツーフィンガー奏法はベースを始めた頃からやってました。
始めた頃は、ベースマガジンやナルチョの通信講座とかの教則画像で覚えましたね〜。
この頃はまだ弦を撫でるようにしか弾けなくて、初めて入った社会人バンドで「元ベーシストのPA会社の社長さん」から
「もっと弦高を上げて、しっかり強く弾くんだ!」
と、アドバイスを頂きまして、頑張って強く弾くようになっていました。
まだ撫でるように弾いていたので、第二関節を主体としたピッキングでしたね。
その後、20代前半で濱瀬元彦さんの教則ビデオを観て「右手は指の根元からピッキングする事が重要」との事を覚えました。
これを機に指の根元(第3関節)からピッキングするようになってました。
しかしながら、弦を下からしっかり持ち上げて弾いてましたので、見事な横振動弾きでね。
また、「弦を振り抜く速度」と言う概念は持ってなかったので、ヘッドスピードも遅くてね。
出る音は音程が少しシャープ気味で、音の立ち上がりもピークが少し遅れる状態でした。
しかもこういう弾き方なので、フレットと弦が当たって出る「バズ音」も良く出てました。
このバズ音もふくめて自分の音だと思ってましたし、それに対応できるような機材を求めてましたね。
当時は(今でもですが)SWRがお気に入りで、ガシガシ、バリンバリンと鳴らしながら弾くのが常でした。
ベース本体のトレブルも上げ上げで、アウトボードのEQで特に10kHz以上をしっかり上げたかったタイプですね。(なのでスピーカーキャビネットはツィーター必須ですね)
併せて2kHz辺りを少し下げると耳に痛い部分を少し下げられるのでこれもやってましたね。
でもね、これはスラップを一人で弾いている分にはいい感じなのですが、実際にバンドアンサンブルで弾くとねぇ…。音抜けは良くないんですよねぇ…。
特に指弾きだとね。モコモコになりがちで…。
で…結局音量を上げる方向になり…(;^ω^)
いわゆる「うるさい音」が出る事になります。
イコライザー等での調整では根本的な解決は難しい案件なんですよね。
対策は楽器そのものを換えるか…ってなりがちですが、楽器を換えた所で大きく変わらないんですよね。(補足ですが、アクティブベースからパッシブベースへの変更や、シングルコイルからハムバッカーピックアップへの変更などは変化がわかりやすいと思います。ですが、それが自分の好きな出したい音なのか…と言う問題に向き合う事になります。私は結局ドンシャリアクティブJBに戻ってしまいました。)
今にして思えばですが、結局「音のイメージも含めた弾き方」なんですよね。
また、弦高も音色に関わるポイントになりますね。ベースを弾かれる方ならお分かりかと思いますが、低すぎる弦高だと張りのある音を出すのが難しいですよね。そのため、ある一定以上の弦高が必要だと思います。
で、この頃の弦高は今よりも高かったんですよ。指弾きでのバズ音対策で上げ気味でした。
ちなみに初めてジラウドのベースを弾かせてもらった時の第一印象は「おっ!弦高低い!」でした。(福田さんは弦高は高めの方が良いって言うスタンスでしたので、そのベースの弦高は意外でした。そのため印象深く覚えています)
今では縦振動奏法により、バズ音は激減しました。そのため弦高も少し下げられています。
おそらくジラウドで試奏したベースの弦高と同じくらいだと思います。 (イメージとしてはアトリエZのデフォルト程度の弦高ですね)
気付きを得るまで
ここからが私的には大事なことなのですが、、
この右手のタッチをしっかり意識する事により「最終的にどんな音を出したいか?」を意識できる様になりました。
縦振動奏法による恩恵で
バズ音が減り、
ピッチが良くなり、
音の立ち上がりも良くなり結果リズムが出しやすくなり…
と、素晴らしいメリットを享受できます。
私はこれらのメリットを受けて、ようやく初めて自分自身の出す音色について意識することができる様になりました。
「良い音色とはどの様なものなのか」を実感することで、初めて気付くことができたと言う事になりますかね。
たぶん本当に音楽的な人であれば、先に音のイメージを漠然とでも持っていて、結果的に自然とその弾き方になっていた…という事なんだと思います。
ですが、私は真逆の流れでした…。
自分自身の出していた音にそれほど意識が無かった…と言う事ですね。(才能無ぇよオレ)
福田さんに縦振動奏法についてレクチャーを受ける以前に、眼の前で「良い音色とはどのようなものであるか?」をお手本として弾いてくれる人が身近にいれば、もっと近道ができたのではないかと思いますねぇ。
正直、独学では気づきにくいですよね…こういうのは。
なので私がジラウドに伺う事がなければ、ずっと「うるさい音」のベースを弾く人のままだったでしょう(;^ω^)
自分自身を表現
「自分自身の出している音色について意識することができる」
この意識が芽生える事により初めて、自分がその音楽の中で
・まずは…どうしたいのか?
・どう弾くのか?
・どの様なベースを弾くのか?
・どの様な音を出したいのか?
という事に意識を向けられるようになりました。
まとめると
「自分の意思を現した音を出す意識」を得ることができた…となりますかね。
そして、その結果として…
私のベース人生は変わりました。
この意識は吹奏楽でエレキベースを弾く事でより強くなりました。
また、縦振動奏法をやっていなければ、吹奏楽でベースを弾き続けることも無かったと思います。
周りは皆アコースティック楽器…。
その中に一人電気楽器ですからね
如何に自然にアンサンブルに溶け込みながらも、エレキベースならではの「音楽」をしっかり表現できるか?
今とても楽しくベースに向き合えています♪
ターニングポイント
ここまで読んで頂きありがとうございます。
セニョの縦振動奏法に関する記事はこれにて終わります。
たかだかエレキベース奏法の一つで人生変わるとは大げさかも知れませんが、少なくとも私には大切な気づきを得る事に繋がる事でした。
今思えばですが、福田氏が私の眼の前で弾いた「あの音」はベース人生のターニングポイントだったんですねぇ
福田氏には心から感謝いたします!
ありがとうございました
ではでは(^^)/