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定年退職まであと20か月を切った。

しかし年金はさらにその5年後からしか出ないし、それとて本当にでるのかわからない。

 

勤め先では、一応「定年退職後の再雇用」もあるようだけど、60歳過ぎてまで、いまの管理社会の中でどっぷり暮らしていきたいくない。

年より臭いと言われるかもしれないが、花鳥風月の世界を肌身に感じた生活をしたい。

 

現実と理想とのはざまで、定年を控えたオジサンはどう生きていくべきなのか・・・・。

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で、今回は「過去を振り返って、ウジウジしよう」と思います。

 

ボクは幼少の頃から理系少年で、花鳥風月は常に興味の対象だった。 なので理系進学を選んだのだけど、就職シーズンになるとちょっと変わってきてしまった。

 

 「理系でよかった、就職有利だぜ」 というような、いつのまにか「就職にとって有利だ」という視点で「理系」を語るようになったのだ。

 

実は、「今から思えば、あそこに入っておけばよかった」と思っている企業から、ボクは内定をもらっていた。

 

それはフランスに本社がある、油田の調査をする企業だ。なんとなく想像がつくと思う。

 

給与もよかったし、仕事も理系的で、本来のボクにとってドンピシャの内容だったのだけど、ボクは内定を断ってしまった。 それは、いまから考えると実にくだらない理由からなのだ。

 

その企業に入れば、最初の1年はオーストラリア勤務で、その後、中近東か東南アジアの油田に行く、ということになっていた。

 

ボクがそのとき思ったのは、「海外に行ったら、少年ジャンプが読めないぞ」 だった。 「北斗の拳」や「筋肉マン」を見れないのはイヤだなぁ、ということだったのだ。 ボクはその時、大学院の修士課程を終える直前だ、つまり、大学院の修士課程なんて、その程度の知能なんだよ。

 

あ、ごめんなさい。そういう知能の低さはボクだけですよね。普通の大学院の修士はもっともっと知能が高いはずです。少年ジャンプを基準に人生を考えたりはしないです。

 

ボクがその企業の内定を断ったのは、もう一つ「湾岸戦争の勃発」があった。あの戦争が勃発したのが、ちょうどボクの就職シーズンと被っているだ。

 

戦争が起きたのだから、この仕事はなくなるだろう ・・・。 ま、そういうことを考えたわけだ。 油田は世界中にいくつもあるし、戦争がずーっと続くわけではないので、そんなことはあるはずないのだけど。

 

だけどこれもきっと「ただの言い訳」なんだって、今なら思う。

 

つまりその当時のボクは、「海外で働くこと」を単純に怖がっていたのだ。ただ、当時「豪快なイメージ」で生きてきたボクにとって、「海外で働くのはコワイ」なんていうセリフを言えるわけがなかったのだ。なので、「少年ジャンプが・・・」とか「湾岸戦争が・・・」とか言っていたに過ぎないのだ。

 

よく、「実行しないで後悔するよりは、実行して後悔しろ」という人がいるけど(あ、ボク自身も、人に対してはそういうことあるなぁ)、実際に「後悔してもよいので実行してみる」という決断を出せる人は、あまりいないような気がする。

 

たいていの人は、「平坦だと思えるような道を歩きたい」と思うものだ。

 

だけど、学生時代のボクにとって、東京で企業に就職することが、なぜ「平坦の道」だと思えたのだろうか? ほとんど社会のことなんて判っていなかったのに!

 

実際、ボクが就職した会社は、バブル当時、かなりブラックで(当時はそんな言葉すらなかった)、ボクが知っているだけで、ボクの同期とボクの1年先輩の期の中だけで「5人も過労死が出た」のだ。

 

ま、正確にいうと、「残業や徹夜が続いたのは事実」だが、「死因が過労だと、正式に判断されたのか」 はボクは知らない。 だけど当時のボクらの間では 「過労死だ」 と噂されていた。 実際、当時ボクが配属された部門でも「残業100時間」なんてざらだったし、ボクも週のほとんどは家に帰れず、オフィス近くのカプセルホテルに泊まっていたのだ。

 

これって、海外で油田の調査をするのと、どっちが辛かったんだろう? ま、日本で働いていれば「少年ジャンプは読める」のだけどね♪

 

そんなわけで、もうかなり前のことになるのに、たまーにこの企業のことを思い出す。当時ボクは「落合信彦」の小説が大好きで、石油ビジネスに絡みたいと、漠然と思っていた多感な青年(ただし「少年ジャンプ」が大好き)だった。

 

定年まで20か月を切った今、もしかしたらあの時と同じ岐路に立たされているのかもしれない。 今度はどんな言い訳をして、ボクは 「チャレンジをあきらめてしまう」 のだろう?