「ハックス」系の書籍はこれまでにも数冊読んできた。それらは、参考になる内容が多く、本書も同様に何か参考にできるものがあるのではないかということで本書を読了した。


 結論としては、本書に書かれていることは既に発行されている類似の仕事術系の本に書かれていることと大差なく、自分にはほとんど参考になる、目新しい点は無かったということになった。


 ただ、その中でも1点、当たり前のことではあるが、復習として確認することができたものはある。

 それは、相手への依頼をスムーズにするために最低限抑えておくべきポイントというものであり、「何を、いつまでに、どのように」をあらかじめ明確にしたうえで相手に提示するというものだ。

 相手に指示・依頼したことというのは多くの場合、どこかで細かいニュアンスが伝わらず、自分の意図したものとは違うリターンが来ることがある。それは、やはり自分の伝え方がまずかったということがあるのだが、その背景にはやはり「これくらい分かるだろ」というどこか慢心?があるように感じる。そのため、このようなことを事前に確認して、あとで二度手間になることのないよう、対応していきたいと感じた。


 本書は目新しい点は無いと書いたが、この手の本を読んだことのない人にとっては、よくまとまっており参考になるものではあるということを最後に補足しておく。


スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術/大橋 悦夫
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 この前に書いた本の続き。宗教論と銘打っているが内容はほぼキリスト教に特化されている。本来は仏教・イスラム教までカバーされているかと期待していたのだが、まぁ神学の修士課程まで出ている著者よりキリスト教の解説を受けられるのであればよしとするか、ということで読み進めた。

 本書はキリスト教にフォーカスされている内容ということで、今回はキリスト教とは何かということで本書を読了し、「見えない力」ということを本書の「キリストがこの世を去る時」、「パウロの回心」というエピソードから学ぶことができた。

 キリストはこの世を去る時に弟子たちに対し、私はすぐ来ると言い残しこの世を去ったとされている。そして、その後弟子たちはキリストが数日のうちに戻ってくると考え、特に記録を作ることなく、そのまま布教を行ったとされている。そして、それが現在の教会につながっていく・・・、と本書では解説されている。しかし、これはそもそもキリストが死後も生き返るという科学的にはあり得ない前提を前提としているものである。さらに不思議なのは、このようなあり得ない前提で構成されたキリスト教がいまだに欧米で信仰されているということだ。

 また、キリスト教の創始者であるパウロについても、その回心のエピソードは何ら合理性の無いものが根拠となっている。キリストの教えに感化され転向した、というようなものではなく、突然パウロに死後のキリストより啓示を受け、それで一気に反キリストの立場であったパウロがキリスト教を立ち上げるまでになるという、突拍子もない展開がされている。

 キリスト教については、おかしなことを前提にしている宗教だと言うつもりもない。ただし、これだけ科学が発達しつつある社会において、なぜこのような「あり得ない」前提を根拠にした宗教が世界中で信仰されるのか。少なくとも無宗教の人間には理解ができそうにもない。ただし、時折科学でもまだ分かっていないことはたくさんある。宇宙の成り立ちから、霊の存在・・・等まだまだ人知を超えたものはたくさんある。そんなときにそれに対するスタンスとして、良く分からないけどそれも一つのものとして受容するというスタンスがあると思う。つまり、この人間のメンタリティの元となっているのもこの宗教の教義が役立っているのではないだろうか。

 生きていると、時には理解できないような理不尽なことに出くわすことがある。そんなときになぜそんなことが起こったのかを理詰めで理解しようとしても理解できず、延々にもやもやして苦しむ。そうではなく、良く分からないけど、それは自分たちの目には見えない何か大きな力、キリスト教でいえば神が定めたものだということで人々は折り合いをつけることで何とか生きている。そんな風にして、人々はこのキリスト教というものを信じることでこの世を生きているのではないだろうか。そんな風に感じた。

はじめての宗教論 左巻―ナショナリズムと神学 (NHK出版新書 336)/佐藤 優
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 宗教と言ってもあまりピンとこない。キリスト教、仏教、イスラム教等世界三大宗教くらいは一通り学んだつもりだが、それではその真髄について問われるとほとんど分からない。

 キリスト教は教会で賛美歌を歌って聖書を読む人、時折妊娠中絶は絶対反対、同性愛者を忌避する人がいる程度の正直良く分からない宗教、というのが今の率直の感想だ。

 キリスト教の勉強のためにじゃあ聖書でも読もうかというと、それはまた果てしなく長い道のりになりそうでそこに進む勇気もない。

 以前は鈴木宗男と共に悪い奴としてのレッテルが貼られ一躍悪役としてのポジションにいたが、次第にそれが仕組まれたものであるという認識が広まり、今や一知識人としてのポジションを確立した著者の本より宗教、キリスト教徒は何なのかについて学ぶこととする。

 本書より、宗教、キリスト教の本質とは、不可視なものへの信仰であると考える。

1つは、金日成の神格化に関するものである。

金日成は北朝鮮の初代指導者でもあるが、彼の指導者としての絶対的な地位を確立するために用意されたエピソードには様々な超常現象が登場する。その多くは科学的に、普通にはあり得ないものだが、それをごく当たり前のように広めている。北朝鮮国民はそれを信じているか否かは別として、そのようなエピソードはそれとして受け入れた上で金日成という人間を奉っている。

 なお、北朝鮮から公表されたものではないが、著者は金日成はキリスト教についてそれなりの知識があるのではないか、場合によっては過去に洗礼を受けているのではないかという見方を示している。また、金日成のエピソードはキリストのエピソードと相通ずるものがあり、金日成はキリストに対して用いられた方策を用いて自らを神格化し、権力を盤石なものにしようとしたのではないかとも推測されている。

2つ目は犬・猫と人間というものだ。

 奴隷貿易というものが歴史上存在し、多くのアフリカ人がヨーロッパ人により連れ去られ、死ぬまで酷使されたということが言われる。また、アメリカ先住民についても虐殺することでそこに今のアメリカの基礎を作ったということが言われている。

 隣人愛、左の頬をぶたれたら右の頬も差しだしなさい、ということが言われるキリスト教において、その信者が奴隷貿易やアメリカ先住民の虐殺ということをするというのは教義に反しないのだろうかという感想を常々もっていた。

 これについてはキリスト教的考えに立てば、何ら問題ないものだという。それは、キリスト教徒にとって、アフリカの黒人もアメリカ先住民も人間ではなかったということがその根拠になる。

 キリスト教では人間は神に息を吹き込まれたことにより生まれる生き物であり、犬・猫等の他の生き物は決してそうではない存在である。そのため、人間は神により選ばれた特別な人間であるという認識を抱かせてしまったという。つまり、キリスト教徒にとっては人間は神に息を吹き込まれて生まれた特別な生き物、という理屈で成り立っており、そういう彼らから見ればアフリカ人やインディアン等のような自分たちとは原始的な生活をしている存在が人間とは見なすことができずに犬・猫のような自分たちより一段低い物と判断され、このようなことが行われてきたのであろう。

 3つ目はポルターガイスト騒ぎというものだ。

 キリストの弟子である使徒たちがみんなで集まっていたところ、突如ガタガタとポルターガイスト的なものが起こり、一人一人に何かを語らせるという現象が生じる。

 キリスト教には、神格化、人間のそもそもの成り立ち等、現在の科学では信じられないようなエピソードが盛り込まれている。そうした宗教がこの現代にあって世界中で信じられているということは無宗教である自分には理解ができない。しかし、理解しがたいことが含まれたものを信じることで、現代に起こる理不尽ともいえる出来事も乗り越えることができるための素地になっているのだろうか。

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