仕事柄、人と交渉をしなければならない機会が多い。にもかかわらず、自分は一向に交渉でうまく立ち回ることができず、相手のいいように、つまり自分に不利なように話が進んでしまい、あとでヒーヒー言うことが多い。それでは、いつまでたっても楽にならないので、自分のためにも楽になる方法を修得しなければならないと考えている。

 そんな多少スケベ心で本書を読了した。どうすればうまく相手との交渉でうまく着地できるかを学ぶために本書を読了した。そのポイントは次の3つである。

 1つ目は、「必ず後で裏を取る」ということだ。話をする中で根拠がはっきりとしないことを口にする人がいる。そのような時には、そんなことを言った奴が後で責任を取ればいいというのが個人的な考えだが、仕事だとそれがもとにトラブルになると、最終的にはこちらにまでその火の粉が飛んでくることが多い。だから正直に言うとそんなどうしようもない奴対策ということもできるのだが、何か根拠・出所のはっきりしない発言についてはその裏を取る・確認するようにする必要があると紹介している。

 実際にこれは一度経験がある。急ぎである、とだけ言われて仕事を依頼されたが、客先からの納期はいつか、ということ等を聞いてみると実は対して急ぎではなかったということが判明した。この時は、多少相手が盛っていた、または軽くウソをついたということになるのだろうが、このように漠然とした発言については、その具体的根拠などを問い詰めると良いということが分かる。

 相手を信じてあげたいという気持ちもあるのだが、「人と物事は別」というドライな姿勢を持つことも大事であるということなのだろう。

 2つ目は、「自分に不利になりそうなことは言わない」というものだ。

 これは、ウソをつけ、ということではなく、自分にとって「この発言をしたら自分の立場はどうなるか」ということを良く考えた上で発言し、自分にとって不利に働く発言は自分から積極的にしない、またそのような発言を引き出されそうになれば、「ちょっと即答できない」というようにすべきということがある。

 プライベートであれば自分の表も裏も全てさらけ出して付き合うのが筋だと思うが、仕事でそんなことをするのはただのお人よしのおバカさんということなのだろう。少しさみしい気持ちもあるがこれも一理あるし仕方ないことだなと感じている。

 そして最後の3つ目は「仮に~ならば●●ということ?」という、仮に話法を活用するということだ。

 交渉においては、言質を取られないようにするということは鉄則であると思う。口頭だけであれば、あとで言った言わないの泥仕合に持ち込むこともできるが、やはりそれはやましい気持ちが残る等の心理的負荷が残るため、余りお薦めされないだろう。

 こんな時は、あくまで仮定の話として、こうだったらどうするかということを確認するようにすべきだとしている。

 そうすることにより、あくまで仮定の話ということで相手もその時は意外と心を開いてくれ、色々な話をしてくれる可能性もあり、うまくいけば本当のニーズをぽろっと漏らしてくれる可能性もあるという。そのため、相手の真意をつかみかねている時にはこのような方法で相手に探りを入れてみるのも良いとしている。

 本書では、他にも様々な交渉テクニックを紹介されている。なかなか、全ての交渉が本書のようにうまくいくとは限らないが、ベーシックの考え方を知っておくということも大事であるかと思う。

弁護士・谷原誠式 「戦略的交渉術」の極意 話下手でも即使える対人スキルと交渉準備術/谷原 誠
¥1,260
Amazon.co.jp