いつもはおとなしく周りに迎合していると思われている麻子だが、今月はなぜか周りの人の意見に合わせられない。

周りの人の意見に違和感を覚えてしまい、どうしても自分を納得させることができない。


寂しいというより人に迎合できない自分を愛しく思えてくる。こんな自分を認めたくなる。

合わせればそれはそれで済むことなのに自分に言い聞かせることができなくてどうしようもないことがある。


「白鳥は哀しからずや海の青空の青にも染まずただよう」

という短歌があるが、自分のことのようだと思う。


正しいことは多数決で決まるのか、わからなくなる。

世の中には理屈でおさまらないことがいっぱいある。


この間は仕事中麻子がとても忙しくてその日のうちに仕上げなければいけない書類があったが、そういう時に限って上司に来客があり、話が長引いていた。

上司はその客人とばか笑いをして仕事に追われている麻子にとっては上司が仕事をしているようには見えなかったし、一回はお茶を出したが、1時間後にお替わりを持っていく余裕がなかった。

そのことを上司から指摘されたとき、すごく反発を覚えた。

その時は「すみませんでした。」と謝ったが、まだねちねち気が利かないとか、なんとか言われて「今、急ぎの仕事してますので失礼します。」と席に戻って書類を作っていたが、もう腹が立って仕方なかった。


その後書類が出来上がったときにもう上司は帰っていて、承認の判をもらえなかった。

がんばってやったのにその日の仕事は期限を守れないことになってしまったが、結局上司が期限を知っていて帰ったのを周りの人は知っていたので、上司が非難された。

自業自得だと麻子は思った。


今月は半吉くらいな運勢なんだと麻子は思った。

(つづく)