私が病室に着いたときにすっかり痩せてしまった伯父は

「遠いところありがとう。」

と言いました。そのあと短い会話を少しだけして、

「来てもらってよかったよ。」

と病室にいる母と私に言い、うつらうつらと眠りました。

それが最後の伯父の言葉になり、そのあと容態が悪くなって眠るようにこの世を去りました。

母には「あなたが来るのを待っていたんだよ。」と言われました。


あの大雪のため、その2、3日前には近くに住む母も車が通れずに伯父に会いに行くことができませんでした。

その間に伯父は

「寂しいから来てくれ。」

と何度か電話をよこしたそうですが、母はどうしても行けなかったそうです。


伯父は自分でも一生青春、万年青年と自称するほど元気な人でした。

通夜と告別式は伯父が責任総代を務め、改装に力を入れた菩提寺で行いました。

雪のあとでとても寒かったのですが、菩提寺で葬儀をすることが伯父の意志でした。

ご住職が通夜のお経のあとで涙を流しながらお話をしてくださいました。

ありがたいことでした。


私が生まれたときから可愛がってくれて、私の父が若くして死ぬ前に伯父に

「これからうちの家族をよろしくお願いします。」

と頼んだそうです。

ですから、私の就職するときは保証人になってくれたし、結婚の心配をしてくれたし、私の花嫁姿を見てそっと涙をぬぐっていた伯父のことは忘れられません。

本当に大切な人でした。

だから本当に悲しくて、しばらく力が抜けてしまいました。