年末年始に陽華は実家で過ごした。
父母も元気で安心したが、しばらく見ないうちに歳をとった気がした。
母は陽華の仕事や結婚について内心は心配しているだろうが、以前にそういったことで大喧嘩をしたことがあるので、お互いもう触れないでスルーしていた。
陽華がなぜ結婚できないのか、陽華の知らないところで占い師に聞いてみたり、結婚紹介所に登録しようとしてみたり、もちろん親心はわかるが、陽華は自分で決めたいことなので、「余計なことをしないで」と怒り、母は母で「私は心配しているのに」と言い返し、どうにもならない現実と納まりのつかないケンカに二人とも疲弊してしまった。
陽華はしばらく母と話もせず、実家とも疎遠になっていった。
人にはそれぞれ結婚の時期があるはず。
もちろん一生結婚しない人もいるし、結婚離婚を繰り返す人もいる。
その人が結婚したいと思うときが結婚適齢期だ。
陽華は女子高の出身だが、真面目で落ち着いていてなんでもきちんとしている良妻賢母になりそうな友人が結婚しないでいて、あの人はちょっと結婚できないだろうと思っていた人が二十歳そこそこで結婚していたりする。
目立ってきれいで高校時代から彼がいた人は早く結婚していたが、性格にもよるのだろう、離婚を2回して今3回目の結婚生活を送っている。
悲しいけれど見た目と結婚のチャンスはかなり関係している。
でも何回も結婚することは幸せなことだろうか。
再婚するということは死別または離婚も経験しているのだから、それはつらいことや悲しいこともあったはずだ。
それぞれが悩んだり苦しんだり、楽しいことがあったりして、波瀾万丈だったり、穏やかだったり、さまざまな人生がある。
彼の待つアパートに帰り、陽華は自分の居場所に戻った気がした。
今の自分はそんなに不幸ではない。
いつもそう思って暮らしてきた。
(つづく)