田中泯『ミニシミテ』講談社 2024
10年以上にわたって綴られたエッセイ(山梨日日新聞)
まさに、ことばでオドる。
世界的ダンサー・俳優の田中泯さん。
俳優として初出演は山田洋次監督の映画『たそがれ清兵衛』、
アカデミー賞ノミネート作品
ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』
さまざまな人々との出会い。
──監督の山田洋次、ヴィム・ヴェンダース、犬童一心、
哲学者ロジェ・カイヨワ、大江健三郎、
坂本龍一、樹木希林、中上健次、
京都西陣の大店の主人、名杜氏、芸人、山梨で農業を営む人々、
そして師匠土方巽(たつみ)──
さまざまな土地での<場オドリ>
──パリで、ニューヨークで、プラハで、
冷戦下のソ連で、福島浪江町で、奄美大島で──。
〈目次〉
第一章 カラダの言葉
世間体はどうする/怪少年/動作に現れる心を読む
監視カメラがとらえた不審な動き?
北斎に成る/年相応というのが分からない
第二章 脱皮
十代後半、八十円ハウスに居た/蒸発衝動/
父は何故、死体を見せたのか/五十七歳の脱皮/口説かれてみるものだ
感覚が言葉に優っている人/人生に飽きたら稽古をしよう
第三章 名付けようのないオドリ
空気・空間を変えるオドリ/僕は地を這う前衛である
プラハ、檻の中で裸を晒す/サンタ・クルス、
檀一雄と高倉健/モスクワ、抵抗する者達の記憶
第四章 因縁
常識破りという伝統を身につけた京都人/性格・業・運命、クソ!
熊楠との縁、憧れの宇宙線/骨が土に還る日まで/白州の風景に重なる面影
第五章 農の暮らし
ミニシミテ/野の生命と一緒にいること/悪夢は見るまえに見ておくべし
田中B吉、失踪の謎に迫る/大事にしている言葉
第六章 利己的な好奇心
何度でも立ち止まるぞ/明日は何して遊ぼうか?
単細胞だった命に遡れば/「何故」や「不思議」が無い世界
第七章 人間なのだ
「気」になる/人間の業を見つけた/「種のルール」は無いのか
二〇二一年、坂本龍一「TIME」/戦後は終わらないよ、若者よ/見せしめの刑
第八章 オドリの言葉
言葉が生まれる前のオドリ
僕のカラダで彼らがオドる/唯一無二の人として生まれる