不穏な<表現の不自由>が迫る来る・・・ 桐野夏生『日没』岩波書店 2020 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

桐野夏生『日没』岩波書店刊 2020

 

 

恐れ、不穏、迫りくる<表現の不自由>などなど、

 

息詰まる緊張感が張りつめる。

 

なのに手に取り、ページをめくる、

 

それがとまらない。

 

 

鋭く問いつづけられるのは、「誰が表現を不自由にしていくのか」、

 

その「誰」が見えないことの恐怖はただならない。

 

 

 

 

◆本の紹介はこちら

 

小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。

それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。

出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。

「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。

終わりの見えない軟禁の悪夢。

「更生」との孤独な闘いの行く末は――。(岩波書店より)

 

 

 

目次

 

第一章 召 喚

 

第二章 生 活

 

第三章 混 乱

 

第四章 転 向

 

 

 

装幀:鈴木成一デザイン室

 

装画:大河原愛「深層の森」

 

 

「深層の森」、この装画がうつくしく、怖い。

 

女性の背中、

 

昏い目をもつ顔にも、

 

さらに大きな眼がとりかこんでいるようにもみえる

 

モノトーンの重層的な画。