<魂がふるえる>塩田千春展、1年前の今日!? @森美術館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 「魂がふるえる 塩田千春展」

    観たいと思えば、美術展を観にゆくことのできる日々が

    1年前にはあった・・・

    その<魂がふるえるような>展示、素晴らしかった!


    「塩田千春展 魂がふるえる」

    森美術館で観てきました。


    塩田千春の作品をじっさいに初めて観たのは

    昨年のオペラ「松風」の美術。

    舞台前面を縦横に覆いつくす黒糸。

    人間の内奥を視覚化した

    その美術に衝撃をうけました。
      https://www.nntt.jac.go.jp/opera/matsukaze/


    大規模なこの展覧会、

    会場へエスカレーターの天井、

    作品・糸と65艘の舟による「どこへむかって」が

    塩田の世界へといざなう。


    最初のインスタレーションは「不確かな旅」。

    真っ赤な糸で埋め尽くされた空間。

    糸の強弱、照明によりこの部屋は表情を変え、

    鉄骨の舟はより抽象化されて、

    その舟から火焔が立ち昇るようであったり、

    血脈にようでもある。

    じっと立ちつくすと不安、不条理が蠢いてくる・・・


    そして、「静けさの中で」

    幼少期に、隣の家が夜中に火事になり、

    その燃えた記憶から制作された作品。

    グランドピアノは焼けただれ、

    鍵盤は真っ黒で、ハンマーも崩れ落ちて。

    このピアノを観て、胸がひりひりと痛み、滲んできました。

    やはり焼けた観客用の椅子が置かれ、

    黒い糸で覆いつくされこの空間。

    ひりひりと突き刺さってきます。

    それでいて、この空間に溶けてゆくかのよう・・・

    「時空の反射」「内と外」などなどインパクトのある作が展示。


    初期からの映像作品も多数。

    画布と自己との境界にいどむような、

    キャンバスを身に纏い、

    真っ赤なアクリル絵の具を頭からかぶった作。

    バスタブを泥舟にし、さらに泥を浴びつづける作。

    全裸で泥まみれになりながら、

    傾斜した地を何度もなんどもよじ登ってゆく作。


    オペラ「松風」をはじめとする

    舞台美術はダイジェストの映像で紹介されているが、

    別室でじっくり観たいと切に願いました。


    まさに<不在なかの存在>を

    追究しつづけている展示でした。


     2019年10月27日(日)まで。



    ◆主な展示作品
      https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/shiotachiharu/04/index.html



    ◆森美術館 ホームページ
      https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/index.html


     

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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