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「魂がふるえる 塩田千春展」
観たいと思えば、美術展を観にゆくことのできる日々が
1年前にはあった・・・
その<魂がふるえるような>展示、素晴らしかった!
「塩田千春展 魂がふるえる」
森美術館で観てきました。
塩田千春の作品をじっさいに初めて観たのは
昨年のオペラ「松風」の美術。
舞台前面を縦横に覆いつくす黒糸。
人間の内奥を視覚化した
その美術に衝撃をうけました。
https://www.nn tt.jac. go.jp/o pera/ma tsukaze /
大規模なこの展覧会、
会場へエスカレーターの天井、
作品・糸と65艘の舟による「どこへむかって」が
塩田の世界へといざなう。
最初のインスタレーションは「不確かな旅」。
真っ赤な糸で埋め尽くされた空間。
糸の強弱、照明によりこの部屋は表情を変え、
鉄骨の舟はより抽象化されて、
その舟から火焔が立ち昇るようであったり、
血脈にようでもある。
じっと立ちつくすと不安、不条理が蠢いてくる・・・
そして、「静けさの中で」
幼少期に、隣の家が夜中に火事になり、
その燃えた記憶から制作された作品。
グランドピアノは焼けただれ、
鍵盤は真っ黒で、ハンマーも崩れ落ちて。
このピアノを観て、胸がひりひりと痛み、滲んできました。
やはり焼けた観客用の椅子が置かれ、
黒い糸で覆いつくされこの空間。
ひりひりと突き刺さってきます。
それでいて、この空間に溶けてゆくかのよう・・・
「時空の反射」「内と外」などなどインパクトのある作が展示。
初期からの映像作品も多数。
画布と自己との境界にいどむような、
キャンバスを身に纏い、
真っ赤なアクリル絵の具を頭からかぶった作。
バスタブを泥舟にし、さらに泥を浴びつづける作。
全裸で泥まみれになりながら、
傾斜した地を何度もなんどもよじ登ってゆく作。
オペラ「松風」をはじめとする
舞台美術はダイジェストの映像で紹介されているが、
別室でじっくり観たいと切に願いました。
まさに<不在なかの存在>を
追究しつづけている展示でした。
2019年10月27日(日)まで。
◆主な展示作品
https://www.mo ri.art. museum/ jp/exhi bitions /shiota chiharu /04/ind ex.html
◆森美術館 ホームページ
https://www.mo ri.art. museum/ jp/exhi bitions /index. html
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