歌舞伎「沼津」を録画で観ました。
2017年にあった顔ぶれとほぼ同じ、とか。
芝居が緻密に練り上げられていて、感動的でした。
幕開き、茶屋娘の米吉のかわゆらしいこと、
ぱっと華やぎます。
妊婦の旅人夫婦のユーモアったっぷり。
街道沿いの人々がくっきりと。
ここがあって、悲劇へ向かって突き進んでゆくのが
鮮明になってくるのでしょう。
そうそう、歌昇と種之助の夫婦に連れられて
歌昇の長男小川綜真が初御目見得もありました。
歌六の平作、
吉右衛門の十兵衛、
雀右衛門のお米、
この三人が実の親子、兄妹であること、
しかもそれが敵どうしであることなど、
じわじわと真相が明かされてゆく、
その芝居が緊密で息詰まるほど。
十兵衛が立ち去るときお米に言う台詞
「人間万事芭蕉葉の、露より脆き人の命」が
しみじみと胸にしみいってきました。
◆三世中村歌六 百回忌追善狂言
伊賀越道中双六
沼津(ぬまづ)
呉服屋十兵衛 吉右衛門
平作娘お米 雀右衛門
雲助平作 歌六
池添孫八 錦之助
茶屋娘おくる 米吉
荷持安兵衛 又五郎