朔太郎の<五月>Ⅲ 「干からびた犯罪」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔太郎の<五月>。

「干からびた犯罪」、

この詩も『月に吠える』にあります。

「殺人事件」に出てきた<探偵>が

 

ここでも登場。

探偵は「おもいにしづん」でいます。

 

 

 

 

 

 

 

詩集『月に吠える』 挿画:田中恭吉

 


 



      干からびた犯罪



どこから犯人は逃走した?

ああ、いく年もいくねんもまへから、

ここに倒れた椅子がある、

ここに凶器がある、

ここに屍体がある、

ここに血がある、

そうして靑ざめた五月の高窓にも、

おもひにしづんだ探偵のくらい顔と、

さびしい女の髪の毛とがふるへて居る。

 

 

 

 

この詩、石桁真礼生が作曲しています。

“交響曲萩原朔太郎”を

 

書きたいと熱望した石桁。

その思いは

 

「低声と室内楽曲のための〝月に吠える〟」に結実。

なんと今日(こんにち)までに

 

2度上演されただけの超難曲。

低声(バリトンかアルト)、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、

ピアノ、ティンパニーの編成。



詩は「悲しい月夜」「山居」

 

「殺人事件」「干からびた犯罪」。