山本掌 句集『月球儀』、刊行1年に!? | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山本掌 句集『月球儀』

刊行して1年になります。

さまざまな思いが去来した1年でした。

なによりもこの句集を

見ていただきたかった兜太先生の他界・・・

句集を出すにあたって、

力をかしてくださった方々への感謝を

あとがきに記しました。

こちらです。

 

 

 

 

 

 

 




   謝辞 あとがきにかえて

句集『月球儀』は

『銀(しろがね)の』一九九二年刊

『朱夏の柩』、一九九五年刊、

『漆黒の翼』二00三年刊に続く第四句集になります。

表題を通奏低音とした連作と「俳句から詩へ」という

俳句からインスパイアされた詩からなっています。



句集名は二00六年創刊の<俳句を支柱とした>

わたしの個人誌「月球儀」から。

毎号特集を組み、

 

現在までに六号を刊行いたしました。

そのなかでも萩原朔太郎の撮影写真に句を書く

という素晴らしい体験でき、この句集へ。

朔太郎の孫で前橋文学館館長の

萩原朔美氏の快諾をいただけたこととてもうれしく、

 

感謝申し上げます。

原版はすべて萩原朔太郎記念・前橋文学館所蔵。

同館の学芸員小林教人氏のご協力によるもの。

 

ありがとうございました。



朔太郎は前橋生まれの同郷というだけでなく、

その繊細にして、特異な感性の<詩>に惹かれ、

 

どのくらいになることか。

声楽においても萩原朔太郎の詩による歌曲に取り組み、

リサイタル<萩原朔太郎をうたう>を催している。



加藤かけい句

 

<井を晒すくちびる死より青かりき>に触れた衝撃で、

詩を紡ぎだすということを体験したことも忘れられない。

お身内の方に励ましていただけたこと、お礼申しあげます。

装画・扉は気鋭の伊豫田晃一氏の

 

「ヴァンパイアのトリプティク」の三連画。

画家で作家、そして装幀家の司修氏に

句集を飾っていただけたのは望外のこと。

お二方により印象的な表紙になりました。

どうぞ、ご覧ください。深謝申しあげます。

妖しくも美しい幻想小説、<悪>のしたたる歌舞伎もの、

ただならぬ底力のヨーロッパを舞台とした長編。

敬愛の小説家皆川博子氏による文は

なによりのはなむけとなりました。

馥郁とした花束のよう。

 

こころより御礼申しあげます。


俳人金子兜太との出会いは俳句との出会いでもありました。

兜太先生七十歳のころ。

壮年のエネルギーにあふれた圧倒的な存在。

その<人間>のふかさ、そのあたたかさ。

まさに<俳諧自由>。



金子兜太主宰「海程」を二〇一八年九月に終刊と決断された。

そのこと、兜太先生のもとでの俳句を纏めようと思い定めました。

この句集のことを兜太先生にお話したところ

「いいじゃないか。その志や、よし」と激励され、

帯文―とてもユニークなーを掲載することに。

ふかく深く、感謝申しあげます。


 
その荒凡夫・金子兜太師、

二〇一八年二月二十日に旅立たれました。

「海の程(みちのり)」を歩むことができたか、

とみずからへ問いつづけながら、

 

編んだ句集となりました。

師への、豊饒な言葉の<海>への

 

一花(いちげ)となれ、と念じつつ。

  
   霧を裂きゆく言の葉を一花とし