山本掌 句集『月球儀』
今年2018年、
句集『月球儀』(DiPS)を上梓いたしました。
『銀(しろがね)の』、『朱夏の柩』、『漆黒の翼』につづく
第四句集になります。
第一句集からどの句を選ぶか、
どの順にし、どのように構成するか、
自分でやってきました。
お力添えをしてくださった方々への感謝の辞を
<謝辞 あとがきにかえて>に書きました。
ご覧いただければ。
謝辞 あとがきにかえて
句集『月球儀』は『銀(しろがね)の』一九九二年刊『朱夏の柩』、
一九九五年刊、『漆黒の翼』二00三年刊に続く第四句集になります。
表題を通奏低音とした連作と
「俳句から詩へ」という俳句から
インスパイアされた詩からなっています。
句集名は二00六年創刊の<俳句を支柱とした>
わたしの個人誌「月球儀」から。
毎号特集を組み、現在までに六号を刊行いたしました。
朔太郎・撮影写真「馬のいる林 前橋郊外」
そのなかでも萩原朔太郎の撮影写真に句を書く
という素晴らしい体験でき、この句集へ。
朔太郎の孫で前橋文学館館長の萩原朔美氏の
快諾をいただけたこととてもうれしく、感謝申し上げます。
原版はすべて萩原朔太郎記念・前橋文学館所蔵。
同館の学芸員小林教人氏のご協力によるもの。
ありがとうございました。
朔太郎は前橋生まれの同郷というだけでなく、
その繊細にして、特異な感性の<詩>に惹かれ、
どのくらいになることか。
声楽においても萩原朔太郎の詩による歌曲に取り組み、
リサイタル<萩原朔太郎をうたう>を催している。
加藤かけい句<井を晒すくちびる死より青かりき>
に触れた衝撃で、
詩を紡ぎだすということを体験したことも忘れられない。
お身内の方に励ましていただけたこと、お礼申しあげます。
装画・扉は気鋭の伊豫田晃一氏の
「ヴァンパイアのトリプティク」の三連画。
画家で作家、そして装幀家の司修氏に
句集を飾っていただけたのは望外のこと。
お二方により印象的な表紙になりました。
どうぞ、ご覧ください。深謝申しあげます。
妖しくも美しい幻想小説、<悪>のしたたる歌舞伎もの、
ただならぬ底力のヨーロッパを舞台とした長編。
敬愛の小説家皆川博子氏による文は
なによりのはなむけとなりました。
馥郁とした花束のよう。こころより御礼申しあげます。
俳人金子兜太との出会いは俳句との出会いでもありました。
兜太先生七十歳のころ。
壮年のエネルギーにあふれた圧倒的な存在。
その<人間>のふかさ、そのあたたかさ。
まさに<俳諧自由>。
金子兜太主宰「海程」を二〇一八年九月に終刊と決断された。
そのこと、兜太先生のもとでの俳句を纏めようと思い定めました。
この句集のことを兜太先生にお話したところ
「いいじゃないか。その志や、よし」と激励され、
帯文―とてもユニークなーを掲載することに。
ふかく深く、感謝申しあげます。
その荒凡夫・金子兜太師、
二〇一八年二月二十日に旅立たれました。
「海の程(みちのり)」を歩むことができたか、
とみずからへ問いつづけながら、
編んだ句集となりました。
師への、
豊饒な言葉の<海>への一花(いちげ)となれ、
と念じつつ。
霧を裂きゆく言の葉を一花とし