岡田一実さん、
第三句集『記憶における沼とその他の在処』(青磁社)を
贈っていただきました。
表紙は紺の布、
そこに金の箔押しで題名があって、
大ぶりの帯(ほぼカバー)。
四六版より小振りな本の大きさで、
とても瀟洒なたたずまい。
帯:金原瑞人
跋:青木亮人
装丁・装画:濱崎実幸
<記憶における沼とその他の在処>という
印象的なタイトル、
章立ても「暗渠」「三千世界」「空洞」「水の音」。
岡田一実の<隠沼>、その水音が聴こえて。
どうもその沼は彼岸・此岸に続いているようで、
そこを岡田一実さんはしなやかに行き来している、よう。
好きな句を少しだけあげておきます。
火蛾は火に裸婦は素描に影となる
かたつむり焼けば水焼く音すなり
すいかづら蛇の膚(はだへ)を思ふ吸ふ
月見草からくれないに朽ちにけり
暗渠より開渠へ落葉浮き届く
凍鶴の凍てゆるびたる貌かたち
春昼や首に紐ある抱き心地
白藤や此の世を続く水の音
◆岡田一実 プロフィール
1976年 富山市生まれ
2010年 第3回芝不器男俳句新人賞にて城戸朱理奨励賞受賞
2014年 第32回現代俳句新人賞受賞
2015年 「らん」同人 現代俳句協会員
句集 『境界ーborderー』(マルコボ.コム、2014年)
『新装丁版 小鳥』(マルコボ.コム、2015年)