岡田一実『記憶における沼とその他の在処』 本の紹介 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

岡田一実さん、

第三句集『記憶における沼とその他の在処』(青磁社)を

贈っていただきました。

表紙は紺の布、

そこに金の箔押しで題名があって、

大ぶりの帯(ほぼカバー)。

四六版より小振りな本の大きさで、

とても瀟洒なたたずまい。

帯:金原瑞人
跋:青木亮人
装丁・装画:濱崎実幸

 

 

<記憶における沼とその他の在処>という

印象的なタイトル、

章立ても「暗渠」「三千世界」「空洞」「水の音」。

岡田一実の<隠沼>、その水音が聴こえて。

どうもその沼は彼岸・此岸に続いているようで、

そこを岡田一実さんはしなやかに行き来している、よう。

 


好きな句を少しだけあげておきます。

  火蛾は火に裸婦は素描に影となる

  かたつむり焼けば水焼く音すなり

  すいかづら蛇の膚(はだへ)を思ふ吸ふ

  月見草からくれないに朽ちにけり

  暗渠より開渠へ落葉浮き届く

  凍鶴の凍てゆるびたる貌かたち

  春昼や首に紐ある抱き心地

  白藤や此の世を続く水の音



◆岡田一実 プロフィール

1976年 富山市生まれ
2010年 第3回芝不器男俳句新人賞にて城戸朱理奨励賞受賞
2014年 第32回現代俳句新人賞受賞
2015年 「らん」同人 現代俳句協会員

句集 『境界ーborderー』(マルコボ.コム、2014年)
    『新装丁版 小鳥』(マルコボ.コム、2015年)