佐岐えりぬさん、旅立ち | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐岐 えりぬさん(1932年12月2日 -  2018年2月1日)、

旅立たれました。

 



<著作>


「星形の影」詩集
「果実の重み」二ヶ国語詩集

「れくいえむ/れくいえむ」エッセイ
「軽井沢 発・作家の行列」 〃
「時のいろどり」 〃


詩人、エッセイスト、朗読家で、

 

作家中村真一郎の奥様。



朗読をエリック・サティの曲で、

ピアニスト高橋アキさんと活動をされていた。


初めてお目にかかったのは、

句集『漆黒の翼』をお送りし、

こんな活動もと入れたコンサートのチラシをご覧になって、

会場へ来てくださった。


「マチネポエティックの四つの歌曲」中田喜直作曲の

歌曲を歌ったおり、

マチネ・ポエティックのこと、

福永武彦、加藤周一、中村真一郎のお話し、

そして、詩の朗読。



この時には佐岐 えりぬ詩に照屋正樹作曲による

「レモン」「かみさまのうた」の二曲を歌ったことも

印象深く残っています。


ご冥福をお祈り申しあげます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆高崎「伊藤信吉を偲ぶ会」での佐岐えりぬさん

2006年11月26日

 

 

26日、高崎の県立土屋文明記念館で
「伊藤信吉を偲ぶ会」が催された。

この文学館はちょっと郊外ということもあり、
北に榛名山や赤城山をのぞみ、
ゆったりとした敷地にかるいアップダウンがあり、
とても気持ちがいい。
そこここに紅葉や黄葉がいろづき散策もいい。

建物の内部も吹き抜けになっており、
高い天井、大きい窓からの光がまぶしいほど入ってくる。
講演は二階の研修室で。
入り口に書家でこの館の館長でもある
岡田芳保氏の闊達な書で迎えられる。
受付にいるのは伊藤信吉氏をお世話し、
詩にも登場する武藤貴代さん。

講演に詩人の那珂太郎氏。
詩の朗読に詩人の佐紀えりぬさん(故中村真一郎夫人)。
信吉さんの詩を十篇ほど。

というプログラム。

小寺知事、館長としてではなく、
伊藤信吉の会の世話人ということで岡田氏の挨拶がある。

那珂氏は1922年生まれというが、お元気で、きれいな白髪。
傘を杖にして壇上へ。
30分くらいといっていたがどんどん信吉氏へのおもいが溢れてくるようで、
とつとつと話しながら、
よどみなく、氏の人柄、業績などあますところがない。

熱をこめて言われた業績のひとつは「群馬文学全集」22巻。
これは明治時代からの群馬の詩人、歌人、小説家などを網羅したもの。
4巻に萩原朔太郎、
11巻に伊藤信吉と司修。

作品や評論などのが注目をあびやすいが、
こういったいろいろな原稿、草稿や資料など丹念に集め、
書籍化することが、いかに大切であるか。

「朔太郎全集」の編纂。

朔太郎忌に毎年信吉氏が前橋に<文学館>を
と言い続けたことが前橋市をうごかし、
「萩原朔太郎記念 前橋文学館」へと導いたこと。

70歳をすぎてから、50年のブランクを経て詩作を再開し
6冊の詩集を上梓したこと。

90歳からこの文学館の館長をされたこと。

などなど、お話はつきない。

わたしが一度信吉氏をお見かけしたのは
この文学館で金子兜太の講演のときに。
かわいいおじいちゃま、というやわらかい雰囲気であった。

そうそう、壇上にはそのあたたかい笑顔の写真が飾られて。


佐紀えりぬ氏は足の指を骨折されたとかでこちらは杖で登場。
黒いベルベットの上着に黒の細身のパンツ。
半白のボブの髪型。
金の手をモティーフにしたネックレスがアクセントになっている。

信吉氏のエピソードを軽く話され、朗読にうつる。
詩人によって、読み方を変えるといっていらしたが、
氏の軽妙でいて、現代の様相を切っている「老世紀界隈で」を
明瞭な日本語で朗読される。

  「います。すこしツンボ」

の詩のなかで、

  自称現代老人の私はちょっとしゃれて。
  それを、
  <私のイアリング>といって愛称している。

と詩人はいう。


わたしの知っている信吉氏のエピソード。

仕事柄、いろいろな方からの本の寄贈あり、
あまりにたまりすぎると氏はどうするか?

どうすると思います?

焚書は本にすまない。古本屋には本人にすまない。
で、庭におおきな穴を掘って、そこに本を埋める!?

オドロイタ。

あとはなごやかに講師の方々もまじえ、
ティー・パーティー。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
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