桜 Ⅷ &俳人・安部完市の思い出 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。






 


  えいさらえい熊野湯の峰桜騒            掌












安部完市

安部完市・俳句講座を2年ほど受講していた。

月に一回、3時間の講座で、

句会を中心に講義で10名いたか、どうかの

非常に時間もゆたりと内容も充実して。


ある時「地名」の兼題が出て、この句を提出。

安部先生が博覧強記なことはむろんのこと、

「道行」などの著作もある。

この中世説話「小栗」についてもとりあげていたような。


で、

驚いたのはこの句を見ると

すぐ日本地図をささっと黒板に書き、
         がきあみ
小栗が毒酒で餓鬼阿弥となり、

その身を熊野湯の峰まで車に引かれて行く、

この道筋をじつに克明にたどり、

詳細な解説がつづいた。


阿部先生というとこのことが

思い出されるほど印象がくっきり、と。


この句評は覚えていないのですが(笑)




「えーいさらえーい」、

「えいさらえい」は車を引く掛け声。

ひとひ        せんぞうくよう
「一引き引いたは千僧供養
 ふたひ       まんぞうくよう
 二引き引いたは万僧供養」



安部完市

             安部完市 画像は現代俳句協会より





昭和3年(1928)1月25日東京生まれ。
平成21年(2009)2月19日没。精神科医。

• 昭和25年より俳句を始め、昭和26年日野草城の「青玄」、
 同27年、西村白雲郷、稲葉 直の「未完現実」に入会。

• 昭和37年、金子兜太の「海程」に入会、同人となる。
 その後、高柳重信の「俳句研究」編集に協力。

• 昭和45年、第17回現代俳句協会賞を受賞。

• 平成12年、埼玉文化賞を受賞。

• 平成21年2月1日現代俳句大賞受賞。

• 平成21年2月19日逝去。享年81歳。

• 現代俳句協会副会長(平成9年2月~平成21年1月)、
 
 国際俳句交流協会副会長、日本ペンクラブ会員。


<著書>

句集
『無帽』
『絵本の空』
『にもつは絵馬』
『春日朝歌(はるひあさうた)』
『純白諸事』
『軽(かる)のやまめ』
『地動説』
『阿部完市俳句集成』等。

  
評論集
『俳句幻形』
『俳句心景』
『絶対本質の俳句論』等。