萩原朔太郎の曲についての覚書です。
プログラムに掲載されます。
萩原朔太郎(1886~1942)は
特異な感覚の新しい口語詩集『月に吠える』、
虚無と倦怠の『青猫』で日本近代詩を
確立した前橋生れの詩人。
朔太郎の詩は詩そのものが作曲を拒絶しさえする。
詩の根源的な、心の内奥に <音>が踏み込み難いゆえ。
オノマトペ
そのなかでユニークな擬音語を
活かした牧野由多可の「猫」。
いしわた
そして「風船乗りの夢」は石渡日出夫により作曲された。
「風船乗りの夢」は軽妙でリズミックな前半と後半、
詩の哲学的で、虚無感にあふれる中間部により、
音楽の表情はペシミスティックで、振幅もいっそう激しく、
スケールの大きな曲となっている。
朔太郎の独特な感性、言語感覚を
絶妙な<音>の世界とした曲をお聴きください。