ベジャール振り付け、ベートーヴェン「第九交響曲」 @BS NHK | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

ベートーヴェンの華々しい「歓喜の歌」を一枚の絵に描いてみるがよい。
想像力を存分に駆け巡らせながら、
人々が感動の戦慄を覚え、地面にひれ伏すのを凝視するがよい。
そうすれば、ディオニソスの陶酔に触れることができるだろう。
そのとき、奴隷は自由の身となる。
そして、人々の間に作られてきた、
堅牢で敵意あふれる障壁はすべて打ち砕かれるのだ。
今や人々は、宇宙的調和の教えによって結合し、
和解し、融合していると感じるばかりではない。
同胞と自分自身を平等の立場で観るようにさえなってきている。
まるで世俗の鎖から解き放たれるかのように……。
まるで神秘の源に見えるものは、
もはやちぎれた鎖の輪とでも言うかのように……。

(ニーチェ「悲劇の誕生」より)


パーカッションにのせた
ジル・ロマンのこの朗読から始る。
ベジャール振り付け、ベートーヴェンの第九交響曲。

2014年11月にNHKホールで上演、
その後上海での公演。
先日BS NHKで放映された。

東京バレエ団50周年、
作品ができてから50年、となる。、

ベジャールバレエ団、
オーケストラ、合唱、ソリスト、ダンサー
出演者は350人を越える。

ズービン・メータ指揮、イスラエル交響楽団。

オーケストラはピットでなく、
舞台後方におかれ、合唱は左右に。
魔法陣を描いた前方のステージで踊られる。


音楽を知り尽くした感のベジャール振り付け、
男性ダンサーはタイツ、
女性ダンサーはレオタードとヘアーバンドの
シンプルな衣装で各楽章で色が変わる。
いっそうダンサーの身体が耀く。
その汗の美しいこと。

世界を構成する4大元素、地、火、水、風を象徴する舞踊に
各楽章が対応されて。

第1楽章では東京バレエ団の躍動感あふれる群舞、
ソリストは柄本弾(つかもと・だん)と上野水香の踊り。

第2楽章は、ベジャール・バレエ団のキャサリーン・ティエルヘルム&大貫真幹。

第3楽章はエリザベット・ロスとジュリアン・ファブローによる
しずかなしっとりした踊り。

第4楽章で、多彩な踊りが音楽とともに高揚し、
多国籍のダンサー全員が踊る、
圧倒的なフィナーレへ高まってゆく

まさに<友よ>であり、<歓喜の歌>。

あらたな「第九」を観た。


ゲネプロ
  https://www.youtube.com/watch?v=tE3XLzbNPvI#t=69









◇モーリス・ベジャール振付
ベートーベン「第九交響曲」

<曲 目>
音楽:ベートーベン作曲
交響曲 第9番 ニ短調 作品125

<振 付>モーリス・ベジャール
<振付指導>ピョートル・ナルデリ
<総合演出>ジル・ロマン

<出 演>
東京バレエ団
モーリス・ベジャール・バレエ団

ソプラノ: クリスティン・ルイス
メゾ・ソプラノ: 藤村 実穂子
テノール: 福井 敬
バス: アレクサンダー・ヴィノグラードフ

<合 唱>栗友会合唱団
<合唱指揮>栗山 文昭
<管弦楽>イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>ズービン・メータ
<ニーチェ「悲劇の誕生」翻訳>増田ユリ子

収録:2014年11月9日 NHKホール