波宜亭(はぎてい)、
(萩亭とも)は前橋の大正期の茶店。
萩原朔太郎がよく通い、
室生犀星ともここに。
その窓辺にたたずんでいたという。
いまは朔太郎の詩にのみ存在しているまぼろしのカフェ。
場所は「るなぱーく」、いま事務所がある場所。
プレートに木造2階建てで、
いわばサロンのようであったのかも。
波宜亭(はぎてい) 萩原朔太郎
少年の日は物に感ぜしや
われは波宜亭(はぎてい)の二階によりて
かなしき情歡の思ひにしづめり。
その亭の庭にも草木さうもく茂み
風ふき渡りてばうばうたれども
かのふるき待たれびとありやなしや。
いにしへの日には鉛筆もて
欄干おばしまにさへ記せし名なり。
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その後
波宜亭、萩亭ともいふ。
先年まで前橋公園前にありき。
庭に秋草茂り、軒傾きて
古雅に床しき旗亭なりしが、
今はいづこへ行きしか、
跡方さへもなし。 萩原朔太郎