波宜亭(はぎてい)  @ まえばし散歩Ⅸ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

波宜亭(はぎてい)、
(萩亭とも)は前橋の大正期の茶店。
萩原朔太郎がよく通い、
室生犀星ともここに。
その窓辺にたたずんでいたという。
いまは朔太郎の詩にのみ存在しているまぼろしのカフェ。

場所は「るなぱーく」、いま事務所がある場所。
プレートに木造2階建てで、
いわばサロンのようであったのかも。


   
   波宜亭(はぎてい)        萩原朔太郎


少年の日は物に感ぜしや

われは波宜亭(はぎてい)の二階によりて

かなしき情歡の思ひにしづめり。

その亭の庭にも草木さうもく茂み

風ふき渡りてばうばうたれども

かのふるき待たれびとありやなしや。

いにしへの日には鉛筆もて

欄干おばしまにさへ記せし名なり。






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その後

波宜亭、萩亭ともいふ。
先年まで前橋公園前にありき。
庭に秋草茂り、軒傾きて
古雅に床しき旗亭なりしが、
今はいづこへ行きしか、
跡方さへもなし。           萩原朔太郎