
初市・達磨市
1月2日、3日、6日、7日あるいは旧正月の日に
市が立ち、売り出す達磨。
と歳時記(新版 季寄せ・角川書店)にはある。
が、
前橋では今日9日に行なわれる。
成人式の日程が変わっても、
初市の日取りはこの9日のほかは
考えられない。
そのくらい根付いている行事だ。
初市・だるま市は、
その昔、毎月4と9の日に開かれていた
日用雑貨や生糸の市が起源のようで、
厩橋(現在の前橋市)城主、酒井重忠侯の時代から始まった
伝統ある行事といわれている。
達磨をメインに縁起物から植木などまで。
市の中心部を交通止めにしてどこまでもだるまが続く。
どこにこんなにひとがいたのかと驚く人出となる。
普段では毎日が<元旦>というくらい静かな通りが、である。
全国で達磨の生産の第一位だと聞く。
達磨はあの選挙事務所によく飾ってある、あれ。
ちかごろは白、緑、金などがもあるようだが、
赤いものが<だるま>と刷り込みがされているので、
もっとも売れ筋。
赤という色のもつ厄除けということがある。
「朱」とか「丹」のもつものからかとも。
「家内安全」「商売繁盛」などその家により
書かれている文字は異なるが、
それぞれの家にあった大きさを選びだす。
その時の売り手と買い手の掛け合い、
そう値引きごっこの声が飛び交う。
「そあ、持ってけ!!
さあ、これで三千両。どうだ、ほれ、おくさん?」
「やだ、それじゃ、大きすぎるって」
「こっちでどうだ。ほれ二千と五百だ!!」
「そうね・・」
「二千と3百だっ」
「二千ッ」
だいたい中間でまとまりシャンシャンと手打ちで締める。
ま、お約束のようなもの。
赤城颪の空っ風のなか勢いのいい、
ほぼ怒鳴りあっているような応答が続く。
各家にひとつ。
どんなお家にも置かれる。
そう、ヴェルサイユのようなロココ趣味であっても、
それはある。
(ちょっと不気味とおもうそこのあなた。
上州人じゃないね)
さあ、片目を入れて。
今年一年、よろしく。
前のだるまはどうするかって?
ちゃーんと、もうひとつの眼をいれて、左義長へ。
もっとも、このあたりでは「どんど焼き」という。
上州だるま事情でした。