閑さや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉 @ コンサートの曲 Ⅱ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。







    閑さや岩にしみ入る蝉の声     芭蕉

  (しづか)









<なんという閑さであろう。

さながら岩にしみ入るかのような蝉の声は、

私を切ないほどの清澄な心境に引き入れていく>




立石寺の清閑・寂寞と、それに接しての芭蕉の清澄の心境。

その外界の実況と胸奥の心境のとの二者を、

一句に集約するに、蝉の声をもってした。


「岩にしみ入る」とは単なる実況の描写ではなくて、

芭蕉の心象である。


この句に象徴される閑寂の境地は、

尿前(しとまえ)の関の苦難から尾羽沢の安息を経て

到達した一つの極点で、

連句的な運びは巧妙を」極める。

                  新潮個展集成「芭蕉文集」より





この句、旧暦5月27日、新暦7月13日、

大石田にて。