皆川博子『鳥少年』が初めて文庫化された。
出版元は創元社。
皆川作品、耽美的で妖しい世界を
40年書き続けているが、
初期のころはミステリーも。
多様な作品群、
最近刊では『海賊女王』上下巻(アイルランドの<女>海賊。
イングランドのエリザベス女王Ⅰとの攻防も)、
続々と『皆川博子コレクション』全5巻が発売中。
これも初期の『ペガサスの挽歌』も記憶に新しい。
で、
『鳥少年』表題作の他短編がずらり。
未収録の3篇も収録されて。
けっこう忘れていた短編もあったりして。
表紙の装画は伊豫田晃一。
原画はSM=サムホールサイズ(22.7×15.8)のパネルに張った
羊皮紙に水彩・色鉛筆・イカ墨等で描かれています。
収録された短編それぞれの要素を重ね合わせたイメージ、とか。
私の個人誌「月球儀」のロゴは伊豫田作品。
「月球儀」3号には伊豫田晃一の詩画を載せています。
11月刊の皆川博子『結ぶ』の装画も予定されて。
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精神病院で受けた絵画療法によって絵の才能が開花した青年を巡る、
病院関係者たちの心の闇を書簡形式で綴るミステリ「火?樹の下で」、
隣室をのぞき見た孤独な娘を誘う異様な遊戯とその結末を語る
「密室遊戯」のほか、初文庫化に際し、
閉鎖的な地方に生きる少年少女の倦怠と残酷を幻視的な筆致で描き出した
「バック・ミラー」など3篇の単行本未収録作を附した16篇を収める。
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「火焔樹の下で」
「卵」
「血浴み」
「指」
「黒 蝶」
「密室遊戯」
「坩 堝(るつぼ)」
「サイレント・ナイト」
「魔 女」
「緑金譜」
「滝 姫」
「ゆびきり」
「鳥少年」
「泣く椅子」
「バック・ミラー」
「沼」
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皆川博子(ミナガワヒロコ )
1930年生まれ。72年、児童文学長編『海と十字架』でデビュー。
73年「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞を受賞。
84年『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞、
86年『恋紅』で第95回直木賞、
90年『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞、
97年『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を受賞する。
ミステリから伝奇、幻想文学まで、
華麗な筆致で綴られた著作は熱狂的な支持を受ける。
『総統の子ら』『伯林蝋人形館』『聖餐城』
『倒立する塔の殺人』など著作多数。