立てるべきか、寝かせるべきか。

ワインを長期で保存する時には、一度は考える問題ではないでしょうか。

 

 

こちらの記事が参考になりました。

文中に、Cabral博士が、2018年6月「(未開封のコルク栓をした)ワインを横に寝かせても、コルクの乾燥を防ぐ効果はなく、ワインの状態を悪化させる可能性すらある」と発表した、とあるのは論文ではないようで、アモリム社から発表された何かなのかも知れません。そこまでは調べていませんが、Cabral博士の名前で検索していて出てきたサイトに他の情報がありました。他のサイトに書いてあったCabral博士が言及した論文、というのはこちらのようです。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1755-0238.2005.tb00036.x

ただ、この論文でのワインボトルの貯蔵時の向きはupright/inverted、つまりまっすぐ立てるか逆さまにするかしか検証されていないため、horizontal、水平に置く場合についての検証も欲しいところです。

 

さらに探しているとこんなのを見つけました。

レビュー、おまとめ論文です。2021年と比較的新しいですし、内容もまとまっていて良いです。栓の種類による違いとワインへの影響、酸化安定性について、望ましい化学的変化について、望ましくない化学的変化について、ワインの質に影響を与える貯蔵中の5つの主な要因(温度、光、湿度、ボトルの向き、コルク汚染(ブショネ))について書いてあります。

この論文では、これまでの研究では貯蔵中のボトルの向きとワインの酸化の度合いについて一貫した結果が出ていないとしています。水平にすることによって酸化をわずかに抑えることができる可能性があり貯蔵スペースの節約にもつながるものの、ボトルの向きによる影響はどのような栓を使っているか、ワインがどんな組成かにも依存しているようであり、さらに研究が必要だと締めくくられています。

 

(わざわざ逆さまにはしないとしても)寝かせたらいいのか、立てたらいいのか、よく分かりませんね。今の所、どちらでも好きな方でいいのかなと思います。ものすごく大きな違いというのはなさそうです。

地下セラーでは、元々ドメティックのサイレントカーブに入っていた100本程度のワインは寝かせて保存してあったので、そのまま寝かせてあります。新しく買ったワインについては、現地のワイナリーから出荷されてきた段ボールに入ったまま置いてあります。元々寝かせてあったものはそのまま、立ててあったものはそのまま、段ボールのままでセラーに置いてあります。とりあえずはその方式で様子を見てみようかと思っています。その上で、5-10年以内で飲みそうな何種類かのワインについては6本を立てて、6本を寝かせて熟成させてみて飲み比べてみようかと思います。あまり変わらないのではと思いますし、ボトル差のほうが大きそうな気がします。