目を覚ますと時計の針は深夜2時をさしていた。
うーん。
パーソナリティのテンションがやたら高いことで有名な某ラジオ番組を聴きながら眠りについたのはたしか23時頃だったと思う。まだ3時間しか経ってない。いつもより早く寝たのがマズかったのかもしれない。
入学早々リズムが狂ってしまった。後悔しながら夢の世界へ戻ろうともがいた。
眠れない。
15分ほどがんばったが眠れない。
こんなときはウイスキーをストレートでぐいっとあおって、て。僕はまだ中一だ。いい加減早く寝ないとヤバイ。
バタン!
そんなとき突然、部屋のドアが勢いよく開いた。
「うわ!」
「だ、誰だ!」
「こんばんは!」
僕は自分の目を疑った。父かと一瞬思ったが、目の前に立ってるのはなんというか四角い顔した不気味な、いやいや、なんだコレは。ぼんやりした脳が危機に備えてクリアになる。
「こんばんは!」
なんだこのフレーズは。当たり前のようでこの状況ではもっとも異次元のフレーズに感じる。
「こんばんは!」
「こ、こんばんは」
返事をかえしたからだろうか。不気味な顔が四角い生物はニコッと笑った、ような気がする。
「えーと俺は君が捨てたルービックキューブの精だ。よろしく!というか今回は説教しにきたんだけどな。これだけ長い付き合いなのにいきなりトイレに流されて驚いたよ。とりあえず謝ってくれ」
「は、はい。的確に説明されたんであなたの正体とここに現れた理由は理解できました。ではとりあえず謝ります。ごめんなさい。トレイに流そうとして本当に申しわけありません」
「なかなかやるな」
「何がですか」
「未知の物事に直面したとき迷いなく即座に対応できる柔軟な脳を持ってるってことさ。やはり君はこの星のルービックキューブ界の未来をしょって立つ選ばれた人間なんだよ」
「この星って大袈裟な」
「君は10年に1度開催される銀河系一を決めるルービックキューブ・ギャラクシー大会に出場するために・・・・」
「あ、そういうのいいです」
「なんだと?」
「面倒だし。そっち方面を膨らまされても困るし」
「膨らませるってどういうことだ」
「いや、今、喧嘩師としてやっていくんで、なんというかそっち方面の話はNGというか、無益というか」
「そう?」
「ええ」
「じゃ、帰る」
「父に似てますね」
「うん?顔が四角いの?色もカラフルなの?」
「いや性格が」
「ふーん。じゃ、とにかく帰るよ。あ、やっぱ明日の夜も来る」
「来なくていいですよ」
「いや来るよ」
「うーん」
というわけでこの日は寝坊してしまった。で、遅刻した。担任からはキツメに怒られたけど殴られはしなかった。ま、当然か。