今回のテーマは『時事ニュース』です。内容は2021年の衆議院選挙です。

 

 

・コロナ禍で国民の所得が激減した。政府の失政が原因で、国民が大変な目に遭っている。だから、国民を救わなければならないという機運が「日本維新の会」以外は共通認識と してあった。積極財政に対する国民の抵抗感がなかった。

 

・自民党の若手の積極財政派が軒並み落選する恐れがあったが、国民にも「この状況で政府が我々を救うのは当然だ」という機運もあり、多くが当選した。

 

 ・国民民主党とれいわ新選組の政策は以前から評価していたが、両党とも大きく議席を伸ばした。 

 

・出口調査では、自民苦戦、立民躍進と言われていたが、大きく異なった。共産党へのアレルギーが、相当に強かった。 

 

・議席を増やしたのは、公明党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組。 

 

・日本維新の会は大躍進に見えるが、2012年の総選挙で54議席、2014年は41議席。前回(2017年)の選挙は希望の党との分裂で大幅に減らしたが、今回はその前に戻った。

 

 ・多くの大物政治家が小選挙区で落選した。例えば、甘利明幹事長や石原伸晃氏ら。石原氏は比例復活もできなかった。    

 

・世界の流れから言って、日本のPB黒字化路線はすぐに行き詰るだろう。生産は国内でやらなければならないという「経済安全保障」の概念が政治の中心になっていく。これも財政出動。外国の財に頼るのは危険だという認識は、政治家たちにも広がっている。 

 

・9月の消費者物価0.1%上昇、1年6カ月ぶりプラス。これは、エネルギーを入れた「コストプッシュ型」のインフレ。 国民にダメージを与えるだけ。国民民主党が「トリガー条項の凍結」と言っている。

 

 ・矢野康治財務次官の文春記事は、選挙妨害。日本経済新聞は毎日、矢野擁護の記事を出しまくった。政治家が「国民を救おう」と言ったことに対して「ばらまきだから、国民を救うな」と言った。

 

 ・国家公務員法違反の矢野論文のおかげで、財務省の正体がばれ、政治家や国民に知られるようになった。財政に関する議論が始まった。矢野論文を擁護する記事も多かったが、すべてあまりにも幼稚。それに対して、きちんと反論する人が増えた。

 

 ・高市早苗政調会長は、補正予算を一刻も早く組んで、支援すると述べている。菅内閣は、2021年度、一度も補正予算を組まなかった。財務省の抵抗はあるが、これだけ議席を取れれば、以前よりはいい補正予算が組めるかもしれない。国民民主党やれいわ新選組は「もっと補正予算を増やせ」と言うだろう。

 

・立憲民主党の敗因は、共産党アレルギーと明確な積極財政を打ち出さなかったこと。

 

・小選挙区では、地盤のある人に勝つのは難しい。世襲議員は強い。それでも、れいわ新選組が比例代表とはいえ、3議席も取ったのは大きい。 

 

・岸田総理は、「小泉内閣以降の新自由主義から転換する」と言った。「令和の所得倍増」とも言った。しかし、新しい資本主義実現会議のメンバーは、グローバリストばかりだった。

 

・「新しい資本主義」とは、原丈人氏の考え方。岸田総理と原氏は友達。原氏が新しい資本主義実現会議のリーダーになれば変わるかもしれないが、当分はあまり変わらない。 

 

・「新しい資本主義」というのは、財務省との手打ちのレトリック。株主中心(ROE中心)の政策からは転換する ということ。そこは財務省も反対しない。法人税増税は財務省が認めるかもしれない。 

 

・日本維新の会や大阪維新の会は、岸田内閣の政策を「社会主義カラー」などと批判する。社会主義の意味がわかっていない。

 

・資本(工場、設備、運搬車両や道路や橋など社会インフラ等を含む)を民間が持つべきというのが「自由主義」、(労働者の)コミュニティが持つべきというのが「共産主義」、(コミュニティで持つことは急にはできないから) 国家が持つべきだというのが「社会主義」。「道路や橋などの基本的な公共インフラを国家が管理する」ことをなぜ「社会主義だ」と維新の会は批判するのか。定義を知らないと、すぐに極論に走りたがる。 

 

・国民民主党が「永久国債化」を訴えている。償還しなくて済むため、「財源」が生まれる。20世紀は中央銀行による国債買い取り自体がタブー中のタブーだった。しかし、安倍政権で変わった。日銀保有国債の「永久国債化」をやれば、「国債=貨幣」と多くの人がわかる。

 

・国民民主党は、経済政策に一切の不整合がない。貨幣観が正しいから。例えば、「消費税減税」や「インボイス制度は導入しない」と言っている。れいわ新選組は「消費税廃止」なので、そもそもインボイス制度は関係ない。 立憲民主党の経済政策(公約)は、結局、失速したが、一部議員によって「アベノミクス」の検証がなされた。 彼らは株主資本主義の誤りを指摘し、正しい議論が始まった。共産党は「トレードオフ」発想(財務省主義)。

 

・矢野財務次官は「本当に困っている人」などと言って、「困っている人」からさらに絞ろうとした。自身の恣意的な基準で国民を選別して、こぼれた人は見捨てると言っている。

 

・日本維新の会は、共産党と真逆の「トレードオフ」発想。共産党が増やそうと言っている予算を維新の会は削ろうとする。共産党が削ろうとしている予算を維新の会は増やすと言っている。

 

・オリックスの宮内義彦氏は、ずっとグローバリズムを主導してきた人。その人が、非の打ちどころのないほど正 しい、新自由主義批判を言い出している。MMTが正しいとも言っている。「財政破綻論」もメカニズムを説明しない「オオカミ少年」と喝破している。

 

・宮内氏の新自由主義批判には邪念が感じられない。ベーシックインカムも「現状を維持しつつ」と言っている。「こっちを削れ」と言っていない。

 

・強い日本に変われる大きなチャンス。積極財政への議論が深まってきている。 ただ、積極財政派が多数派になったわけではない。 

 

 

皆さんは、衆議院選挙でどの党・政治家に投票しましたか?私は積極財政を公約に掲げていた国民民主党とれいわ新選組に投票しました。日本が早くデフレ脱却をし、経済成長しないとアメリカ又は中国の属国になる日も近いからです。

 

 

クイズ

 

 【問題1】 出口調査では、自民苦戦、立民躍進と言われていたが、大きく異なった。(     )党へのアレルギーが、相当に強かったのだろう。 

 

【問題2】 ほとんどの有権者は、各候補の政策を見ない。そして、知らない人の名前は書かない。だから、名前を知られるこ とが大事になる。(     )氏に勝った吉田晴美氏は、れいわ新選組の山本太郎氏の立候補騒動があったために、有権者に名前を知られる結果になった。 

 

【問題3】 (     )財務次官の文春記事は、選挙妨害。そして、内容が幼稚。日本経済新聞は毎日、擁護の記事を出し まくった。政治家が「国民を救おう」と言ったことに対して「ばらまきだから、国民を救うな」と言った。

 

【問題4】 (     )政調会長は、補正予算を一刻も早く組んで、支援すると述べている。菅内閣は、2021年度、一度も補正予算を組まなかった。財務省の抵抗はあるが、これだけ議席を取れれば、以前よりはいい補正予算が組めるかもしれない。国民民主党やれいわ新選組は「もっと補正予算を増やせ」と言うだろう。 

 

【問題5】 岸田総理は、「(     )内閣以降の新自由主義から転換する」と言った。「令和の所得倍増」とも言った。ここからはかなり後退するだろうが、菅内閣よりはマシ。 

 

【問題6】 「新しい資本主義」とは、(     )氏の考え方。岸田総理とは友達。 

 

【問題7】 資本(工場、設備、運搬車両や道路や橋など社会インフラ等を含む)を民間が持つべきというのが「(     ) 主義」、コミュニティが持つべきというのが「共産主義」、国家が持つべきだというのが「社会主義」。 

 

【問題8】 オリックスの(     )氏は、ずっとグローバリズムを主導してきた人。その人が、非の打ちどころのないほど正しい、新自由主義批判を言い出している。MMTが正しいとも言っている。「財政破綻論」もメカニズムを説明 しない「オオカミ少年」と喝破している。 

 

【問題9】 中国問題を意識する層と、貧しい人を助けましょうという層がいるが、この両者は緊縮財政だと対立する。例えば、日本維新の会と(     )党。どちらの政策もやればいいだけ。 

 

【問題10】 今は過渡期だが、四半世紀も間違えてきたことは簡単には変わらない。グローバリズムという間違いは、 (     )氏の『ボーダレス・ワールド』から始まった。 

 

 

模範解答

 

【問題1】 共産(日本共産)

【問題2】 石原伸晃

【問題3】 矢野康治

【問題4】 高市早苗 

【問題5】 小泉(小泉純一郎) 

【問題6】 原丈人 

【問題7】 自由 

【問題8】 宮内義彦 

【問題9】 共産(日本共産) 

【問題10】 大前研一