2023年シーズンは2年連続最下位に沈み、2024年シーズンは正念場を迎える北海道日本ハムファイターズ。
今オフは積極的な補強を進めています。
FAでは山﨑福也の獲得に成功。また外国人選手も大幅な刷新を進めており、外国人投手ではパトリック・マーフィー、アニュラス・ザバラを獲得し、外国人野手ではアンドリュー・スティーブンソンを獲得。
外国人選手では来季契約を延長しているブライアン・ロドリゲス、アリエル・マルティネスを含めて6名が在籍している状況でしたが、更に投手1、野手1の外国人選手獲得を目指している事が報じられていました。
そんな中で1月8日、今季カンザスシティ・ロイヤルズでプレーし、メジャー通算108本塁打を放った実績を持つフランミル・レイエス外野手と契約合意したと発表しました。
【日本ハム】メジャー108発・レイエスの獲得を発表 新庄剛志監督「楽しみになってきたばい」(スポーツ報知)
日本ハムは8日、前カンザスシティ・ロイヤルズのフランミル・レイエス外野手と契約合意に達したことを発表した。
ドミニカ共和国出身で196センチ、120キロの右の大砲で、メジャー通算108本塁打。MLB計6シーズンで30発以上2度、2ケタ4度をマークした実績を持つ。
レイエスは球団を通じ「はじめに、日本で野球を続けられる機会をくださった北海道日本ハムファイターズへ心より感謝いたします。また、私の人生において、新たな国へ視野を広げられることをとても楽しみにしています。子どもの頃から今日まで継続していることでもある、毎日100%の力でプレーすることを約束いたします。ファイターズでの目標として、できる限り多くの試合に勝利し、日本一の栄冠を北海道へ持ってくることができるよう尽力いたします」とコメントを発表。
新庄剛志監督も「最近の外国人選手では、一番スイングスピードが速いんじゃないかな。とにかくパワーがすごいね。エスコンだと、サウナに入っている人たちが彼のホームランボールをキャッチするんじゃない? 力まず軽くミートするだけで、逆方向に放り込んだ映像を何回も見たからね。しかも追い込まれてから!! 気になるのは三振率が高いことだけど、エスコンは球場が広くないし、軽く振っても入るんだ、というコツを掴んでくれたら三振は減るし、率も上がってくる。今からラインナップを考えるのが楽しみになってきたばい」と期待を込めた。
今回は日本ハムが獲得を発表したフランミル・レイエスについて紹介します。
MLB通算108発 19年にはシーズン37本塁打を放った長距離砲
フランミル・レイエスはドミニカ共和国サン・クリストバル州出身の28歳。右投右打の外野手です。
2011年に15歳でサンディエゴ・パドレスと契約を結んで、プロ入り。
2012年に傘下ルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・パドレスでプロデビュー。67試合打率.267、4本塁打、37打点、12盗塁を記録した。
2013年はルーキー級と1A-でプレー。合計で57試合打率.292、4本塁打、34打点、5盗塁を記録した。
2014年は1Aでプレー。128試合打率.248、11本塁打、59打点、1盗塁を記録した。
2015年も1Aでプレー。123試合打率.255,8本塁打、62打点、10盗塁を記録した。
2016年は1A+でプレー。130試合打率.278、16本塁打、83打点、2盗塁を記録した。
2017年は2Aでプレー。135試合打率.258、25本塁打、102打点、4盗塁を記録した。
2018年5月14日にメジャー契約を結んで、アクティブ・ロースター入り。同日の試合でメジャーデビューを果たし、この年はメジャーで87試合打率.280、16本塁打、31打点を記録した。
2019年は開幕をメジャーで迎え、ライトのレギュラーを掴むと前半戦だけで25本塁打をマーク。同年7月30日に三角トレードの一角として、クリーブランド・インディアンスへ移籍し、移籍後は10本塁打をマーク。
移籍前後を合わせて、150試合打率.249、37本塁打、81打点を記録した。
2020年はメジャーで59試合打率.275、9本塁打、34打点を記録した。
2021年は足の怪我の離脱したが、115試合打率.254、30本塁打、85打点、4盗塁を記録した。
2022年8月8日にシカゴ・カブスへ移籍。移籍前後を合わせて、118試合打率.211、14本塁打、47打点を記録。オフの11月10日にFAとなった。
2023年2月15日にカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を結んだ。開幕ロースター入りしたが19試合打率.186、2本塁打、7打点と低迷し、5月11日にFAとなると、同月18日にワシントン・ナショナルズとマイナー契約を結んだ。
しかし移籍後はメジャーへ昇格できず、3Aで38試合打率.217、6本塁打、23打点を記録したが、8月11日に自由契約となり、シーズンを終えた。
シーズン成績
上記はフランミル・レイエスのシーズン成績です。
昨年はメジャーで19試合打率.186、2本塁打、7打点、OPS.519と結果を残せず、その後は3Aでも低迷した事で昨年8月11日に自由契約となって以降は、プレーする事はなく、シーズンを終えました。
オフはドミニカ共和国のウインターリーグに参加し、42試合打率.296、9本塁打、34打点、OPS.899と結果を残せており、実戦勘に関しては問題なさそうです。
やはり際立っているのは本塁打数の多さ。
2019年には前半戦だけで27本塁打をマークし、後半戦の10本塁打を合わせるとシーズン37本塁打をマークしています。また2021年にも30本塁打を放つなどパワー面に関しては本物と言えそうです。
一方で三振数の多さも際立っていて、通算三振率が33.8%(1881打数/635三振)、2023年シーズンは40.7%(59打数/24三振)と非常に三振率が高い傾向にあります。
変化球には脆さもMLB屈指のパワーツールの持ち主
上記はフランミル・レイエスの球種別成績と打球関連の指標です。
球種別成績ではストレート、ツーシーム、カットボールと言った球速帯の速いボールに対しては長打率が高い傾向にあります。この3球種はNPBでは球速が落ちることを踏まえれば、更に数字が上がるかもしれません。
一方でスライダー、カーブ、チェンジアップに対しては数字が下がり、三振率も高い傾向にあります。NPBでは多用されてくる事を考えるとこの球種の対応力が求められる事になります。
打球系の指標では平均打球速度、HardHit%、Barrel%は軒並みMLB平均を大きく上回るなどパワーツールに関しては屈指の能力があると言えます。
ただゴロ率も高い傾向にあり、足が遅い事もあって、併殺打が多い傾向です。
守備における貢献は期待薄
上記はフランミル・レイエスの守備指標です。
2019年ごろまでは守備に就くことも多かったのですが、ここ数年はDHでの起用が中心となっています。
理由としては196㎝、120kg超の体格。抜群の長打力と引き換えに守備におけるスピードと言うのは全くなく、MLBの2023年パーセンタイルランキングにおけるスプリントスピードは26.5ft/sとMLB平均を下回り、パーセンタイルランキングでは下位30%に含まれるなど足の遅さは致命的。
古傷の膝の怪我などもあり、守備で貢献するのはほぼ難しく、DHで起用するのが無難と言えそうです。
プレー映像
↑2023年のプレー映像
↑プレー映像
映像を見ると恵まれた体格から繰り出される抜群の打球速度と打球飛距離を誇るまさにパワーヒッターです。打撃フォームもシンプルな印象で、長い腕を折りたたんでインコースもしっかりと捌けている印象です。
一方でデータなどを見ても緩急に脆く、ゾーン管理能力も荒々しいと言う点は気がかりです。また守備・走塁における貢献はほぼ難しい事を踏まえるとどれだけ長打力を発揮できるかで評価が変わる選手だと言えます。
今オフは日米7球団の争奪戦になるなど、非常に高い関心を集める存在でした。その中で争奪戦を制することが出来たのは大きいと言えます。
近年は長距離砲と言える外国人選手が来日するのは様々な事情で難しい中で、レイエスがどれだけのアーチをかけるのかは注目したいところです。