藤本博史監督体制2年目で2023年シーズンを迎えた福岡ソフトバンクホークス。
シーズン序盤から好調な戦いぶりを続けていましたが、オールスターを挟んで12連敗を喫し、最大15あった貯金は3にまで激減するなど、後半戦の戦いに向けてここが正念場と言える状況となっています。
そんな中で絶対的なセットアッパーとしてチームを支えていたリバン・モイネロが今月26日に左肘の手術を受けた事が発表され、競技復帰までに3か月を要する事から今シーズン中の復帰は難しい見通しとなっています。
大型連敗からの巻き返しを図る上では大きな戦力だっただけに非常に痛い離脱となってしまい、今後どのように穴埋めを図るのかが注目されていました。
そんな中で7月28日、今シーズンボルチモア・オリオールズ3Aに在籍し、MLB通算91試合に登板した実績を持つダーウィンゾン・ヘルナンデス投手を獲得した事を発表しました。
【ソフトバンク】新外国人左腕ヘルナンデスの獲得発表 最速159キロ、手術モイネロの代役期待(日刊スポーツ)
ソフトバンクは28日、新外国人としてオリオールズ3Aのダーウィンゾン・ヘルナンデス投手(26=左投げ左打ち)の獲得を発表した。背番号は「61」に決まった。
ヘルナンデス投手は「日本で、またホークスという新しいチームでプレーできることに、今からとてもワクワクしています。契約してもらったホークスには感謝しています。チームメートやファンのみなさんと会うのがとても楽しみです。優勝目指して一緒に頑張りましょう!」とコメントした。
「8回の男」として勝利の方程式を支えたリバン・モイネロが左肘を手術。今季の戦列復帰が絶望的なだけに、モイネロに代わるセットアッパー候補としてヘルナンデスを緊急補強。
今季は3Aで27試合に登板、2勝1敗1セーブ、防御率2・96。過去には大谷翔平から4三振を奪ったこもある。球団54年ぶりの12連敗を喫するなど、ブルペン陣の立て直しは急務。3年ぶりのV奪回は至上命令だけに最速159キロ左腕の加入で夏本番の巻き返しを図る。
今回はソフトバンクが獲得を発表したダーウィンゾン・ヘルナンデスについて紹介します。
MLB通算91試合に登板 平均151.4キロを計測するストレートが武器の剛腕左腕
ダーウィンゾン・ヘルナンデスはベネズエラ・ボリバル州出身の26歳。左投左打の投手です。
2013年8月26日にインターナショナル・フリーエージェントでボストン・レッドソックスとマイナー契約を結んで、プロ入り。
2014年に傘下ルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・レッドソックスでプロデビューし、14試合1勝1敗、防御率2.89、15奪三振を記録した。
2015年も傘下ルーキー級でプレー。13試合6勝1敗、防御率1.10、66奪三振を記録した。
2016年は1A-でプレー。14試合3勝5敗、防御率4.10、58奪三振を記録した。
2017年は1Aでプレー。23試合4勝5敗、防御率4.01、116奪三振を記録した。
2018年は1A+、2Aでプレー。2チーム合計で23試合9勝5敗、防御率3.53、134奪三振を記録した。またオフには40人枠のロースター入りを果たした。
2019年4月23日にメジャー初昇格を果たし、同日の試合でメジャーデビュー。この試合では2.1回を投げて無失点に抑えた。この年はメジャーで29試合0勝1敗、防御率4.45、57奪三振を記録した。
2020年はメジャーで7試合1勝0敗、防御率2.16、13奪三振を記録した。
2021年はメジャーで自己最多となる48試合に登板。2勝2敗、防御率3.38、54奪三振を記録した。
2022年はメジャーで7試合0勝1敗、防御率21.60、9奪三振と結果を残せず、シーズンの大半を3Aで過ごした。
2023年1月5日にDFAとなると、同月11日に金銭トレードでボルチモア・オリオールズへ移籍。また3月にはWBCベネズエラ代表に選出され、イスラエル戦で1回無失点と好投した。
今季3Aでは27試合2勝1敗1S、防御率2.96、37奪三振を記録していた。
シーズン成績
上記はダーウィンゾン・ヘルナンデスのMLB・3Aでのシーズン成績です。
メジャーでは2019年から2022年の4シーズンプレーした経験があり、通算91試合3勝4敗、防御率5.06、85.1イニングを投げて、133奪三振、1.73WHIPを記録しています。
デビューシーズンとなった2019年は29試合0勝1敗、防御率4.45ながらも30.1回で57奪三振を奪い、16.9K/9と抜群の奪三振率を披露。
そしてキャリアハイとなったのは2021年シーズン。48試合2勝2敗、防御率3.38を記録し、40.0回で54奪三振、12.2K/9と好成績を残したと言えます。
ただ2022年は不振に苦しみ、成績が急落すると今季はメジャーで登板する事は出来ませんでした。
3Aでは今季27試合2勝1敗1S、防御率2.96、27.1回で37奪三振、12.2K/9と復調の兆しを見せています。
ヘルナンデス最大の武器と言えるのが抜群の奪三振率の高さ。
メジャーでは4シーズン全てで奪三振率が10点台を超え、常にイニング数を上回る奪三振数を記録しています。
一方で課題と言えるのは制球面。メジャー通算7.7BB/9、3A通算7.2BB/9とかなり悪い数字が並んでいます。キャリアを通しても制球系の指標が上向くことがない事もあり、制球に関しては大きな期待をするのは難しいと言う印象です。
威力あるストレートを軸にスライダー、カーブを織り交ぜる投球スタイル
上記はダーウインゾン・ヘルナンデスの球種別成績です。
2022年シーズンの球種別配分を見るとストレート:61%、スライダー:25.8%、カーブ:13.2%となっています。
ストレートですが、2022年のデータでは平均151.7キロ、最速156.2キロを計測。今季3Aでの平均球速152.8キロと非常に高い球速を示しています。
今季3Aでは縦変化34.9㎝と今季の3A平均よりも5.1㎝ホップ成分が弱い傾向にあります。ただ2022年の2358回転と言うのは2022年MLBのストレートのスピンレートのパーセンタイルでは79パーセンタイルとMLBの平均を上回るなど良質なボールであると言えそうです。
スライダーは空振り率が通算11.5%と空振りが奪える傾向にありますが、Contact%が通算70%台と高い傾向にあります。ただヒートマップを見ると低めに集めることが出来ている球種でもあります。
カーブは平均球速が120キロ台と緩急をつけることが出来る球種となっていて、スライダーよりも横変化が大きい球種となっています。
プレー映像
↑2022年の球種別映像
投球フォームを見るとスリークォーターの腕の振りをしていて、インステップもかなり強烈なものを感じさせます。実際リリースポイントは高さ150㎝と低く、また2022年のMLBでのデータではリリースポイントが安定しており、球持ちの良さも抜群であると言えます。
ただ映像を見ていると捕手が構えたミット通りになかなかボールが来ておらず、コマンド力には課題があるというのは紛れもない事実です。
ただスライダーやカーブは比較的ミット通りの位置に投げ切れている印象があり、武器には出来そうです。
奪三振奪取能力には長けているものの、制球面が悪く、粗削りな原石ともいえるよな投手でハマったときには相手を圧倒するであろう投球が想像できるものの、制球を途端に崩せば手を付けられない状態になる可能性も容易に想像できる印象。
ただ年齢的にもまだまだ改善できる余地を残している印象もあり、結果を残すことが出来ればチームにとって大きなプラスをもたらしそうです。