2021年シーズンは3年連続のBクラスとなる5位に沈み、来シーズンこそはAクラス返り咲きを狙う広島東洋カープ
今オフは外国人選手の補強で各球団に先駆けて獲得の報が届いており、先発ローテーション候補としてドリュー・アンダーソン、攻撃陣の強化としてライアン・マクブルームを獲得しました。
ただ補強終了の情報はなく、更なる補強の可能性は残されていました。
そんな中で11月9日、広島は今季シカゴ・ホワイトソックス傘下3Aでプレーし、メジャー通算35試合に登板したニック・ターリー投手と契約を結んだことを発表しました。
広島新外国人最速156キロ左腕ターリーに「栗林の前を期待」佐々岡監督(日刊スポーツ)
広島は9日、新外国人選手として最速156キロ左腕のニック・ターリー投手(32)と契約を結んだことを発表した。
契約金10万ドル(約1100万円)、年俸65万ドル(約7150万円)プラス出来高払い。
広島から早くも今オフ3人目の新外国人選手との契約合意が発表された。身長193センチ、体重104キロの大型左腕、ターリーだ。球団を通じ「カープおよび広島のみなさまのためにプレーできる機会を頂けて興奮しています! シーズンが始まることを待ちきれません。応援よろしくお願いします」と熱気のこもったコメントを寄せた。
最速156キロの直球と大きく曲がるカーブをベースに、スライダー、チェンジアップなどを操る中継ぎタイプ。今季は3Aで43試合1勝4敗6ホールド5セーブ、防御率5.02。奪三振率12.56と高い数字を残した。直球は平均150キロ台前半を計測するといい、球団幹部は「ストレートで結構バシバシ押し込む感じ」と説明。起用については来季の去就が未定のバードのようなワンポイント中心ではなく「1イニングは任せられるだろう」と明かした。
今季は守護神の栗林につなぐリリーフ陣を固定できなかった。ホールド数ではヤクルト清水が「50」、阪神岩崎が「41」を記録しているのに対し、チームトップは塹江、森浦の「17」。佐々岡監督は「球団から『後ろを期待できる』と言われていた。栗林の前ができるかどうか見てみないとわからないけど、期待したい」と胸を膨らませた。助っ人左腕の働きぶりが、課題克服への鍵となりそうだ。
ターリーはパイレーツ時代の18年1月に、ドーピング検査にて陽性反応を示し、開幕から80試合の出場停止処分を受けていた過去がある。球団は事実を把握しており、その後の投球内容と、調査を重ねた上で獲得を決断した。万が一再び陽性の反応があった場合は、当該選手に限らず厳しい措置を取る構えだ。
今回は、広島が獲得を発表したニック・ターリーについて紹介します。
メジャー通算35試合登板 今季は3A-EASTで43試合で奪三振率12.56を記録
ニック・ターリーはアメリカ合衆国・カルフォルニア州出身の32歳。左投左打の投手です。
2008年MLBドラフト50巡目(全体1502位)でニューヨーク・ヤンキースから指名され、プロ入り。契約後にルーキーリーグでプロデビューを飾り、2012年には2Aに初昇格し、40人枠入りを果たした。
2013年は2Aで27試合11勝8敗、防御率3.88、137奪三振を記録した。
2014年は3Aで13試合5勝3敗、防御率4.62、44奪三振を記録。オフにFAとなり、同年12月にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだ。
2015年は3Aで19試合7勝8敗、防御率4.56、85奪三振を記録。オフにFAとなり、同年11月にシカゴ・ホワイトソックスとマイナー契約を結んだが、2016年3月28日に自由契約。
2016年4月にボストン・レッドソックスとマイナー契約を結ぶと、2Aで20試合1勝2敗、防御率4.29、48奪三振を記録したが、同年7月に自由契約となった。
2016年7月27日に米独立リーグの球団と契約し、10試合5勝1敗、防御率2.02、66奪三振を記録。同年10月にミネソタ・ツインズとマイナー契約を結んだ。
2017年は3Aで18試合5勝4敗、防御率2.26、79奪三振を記録し、6月11日にメジャー契約を結び、同日の試合でデビュー。この年はメジャーで10試合0勝2敗、防御率11.21、13奪三振を記録した。
2017年11月にピッツバーグ・パイレーツへ移籍。しかし2018年1月にドーピング検査で成長ホルモンの放出を刺激する物質の陽性反応が出たことで、開幕からの80試合出場停止処分を受けた。また左肘の張りを訴えると、トミージョン手術を受け、シーズン全休。翌年も試合に出場することはなかった。
2020年はメジャー契約を結び、25試合0勝3敗1S、防御率4.98、20奪三振を記録した。
2021年は1月に金銭トレードでオークランド・アスレチックスへ移籍したが、3月にウェイバーを経て、シカゴ・ホワイトソックスへ移籍。
移籍後はメジャーに昇格できず、3A-EASTで43試合1勝4敗5S、防御率5.02、60奪三振。奪三振率12.56を記録した。
成績で読み解く
上記はニック・ターリーのシーズン成績です。
メジャーでは2017年、2020年の2シーズンでプレーし、通算35試合に登板しています。キャリアハイのシーズンとなった2020年は奪三振率8.31と一定数の三振を奪う力がある事を証明しましたが、一方で与四球率4.57と制球面に課題を残す結果となっています。
3Aでは2017年までは先発投手としてプレーしており、「ローテーションの4、5番手候補になる」と評価されていた時期もありました。
ただ2018年に禁止薬物の陽性反応が出たことで80試合の出場停止処分に加えて、左肘のトミージョン手術を受けたことで丸2年間は実戦登板から離れました。その間にリリーフへと転向したとみられています。
今シーズンは3Aで43試合に登板し、43.0回で60奪三振。奪三振率12.56を記録するなど三振奪取能力が大きく向上した事が分かります。
ただ制球面に関しては、今季は4.40BB/9と2017年の数字から大きく悪化しています。元々キャリアを通して制球力が乏しいデータが残っていますし、NPBでも制球面に関しては課題となりそうです。
基本的には直球とカーブの2球種のみだが2020年のスピンレートはMLB上位級
上記は、ニック・ターリーの球種別成績です。
基本的にストレート、カーブの構成で、スライダー、チェンジアップは2017年は使いましたが、2020年は使用してはいません。
ストレートに関しては、2020年は最速155キロ、最低速度148キロとリリーフに専念した事で出力を上げたことで力強さを増したという印象で、被打率.148、SwStr11.1%と打者を封じるボールとなっています。
2020年に記録した2536回転は96パーセントタイルとMLB全体で上位に当たる数値を残しています。また球速に関しても69パーセントタイルとMLB平均を上回る数値を残しているなど、ストレートの力強さには期待が持てます。
カーブに関しては、スピンレート2791は83パーセントタイルとMLB全体で上位に当たる数値を残していて、ボールの動きも右打者に向かって、30㎝移動し、1.63m落ちています。2020年のカーブの平均的な軌道が23㎝移動し、1.37m落ちている事を考えると、平均的なカーブよりも大きな曲がりを見せている事になります。
ただ曲がりが大きい故の課題もあり、カーブのSwing%(打者がスイングした割合)は21.1%、Zone%(ストライクゾーンに投じた割合)が37.3%とゾーン内に決めきれていないというのが明確です。
ストレートがSwing%が59.9、Zone%が58.9ですから、いかにカーブをゾーンに決めきれるかも課題となりそうです。
対左打者では途端に制球難に・・・
上記はニック・ターリーの対左右別の成績です。
2021年の3Aでの対左右別成績は対右打者には打率.159、11.66K/9。対左打者には打率.224、15.63K/9としっかりと抑えることが出来ていたという良い数値が残ります。
ただその中ではあっても非常に気がかりなのが、対左打者になると途端に制球難気味の傾向が現れる事です。
2017年は対右2.40BB/9、対左13.50BB/9。2020年は対右2.30BB/9、対左10.50BB/9。通算対右2.35BB/9、対左11.42BB/9。2020年に関しては対左打者31人に7四死球(対右打者は61人で4四死球)と明らかに対左打者を苦手としていて、制球力も悪化しているのが分かります。
大きなカーブを操るが故に左打者が的のようになっていて、決めきれなくなっている可能性があります。
改善するには、スライダーやチェンジアップを解禁する事も考えられそうです。
映像で見る
↑2021年の投球映像
↑2020年の投球映像
映像を見ると投球フォームはテイクバックがコンパクトで出処は見づらいだろうという感じを受けました。
投げているボールもストレートに関しては非常に力強さを感じさせ、カーブに関しては曲がりが大きく、ゾーンに決まった時にはなかなか打者も手が出ないボールになっている印象です。
ただ映像を見ていると変化球時には腕の振りが緩んでいる印象で、全体的にコマンド力を欠いているような印象もあります。
バードと比べるとボールの力や奪三振奪取能力はターリーのほうが上で、セットアッパーとしては十分可能性があると言えますが、制球力の課題や対左打者対策をどうするかという部分に注目したいところです。



