現在パリーグ首位を走る福岡ソフトバンクホークス
しかしシーズン序盤から主力選手に故障者が相次ぎ、本来なら苦しい戦いを強いられてしまう可能性が高いのですが若手選手を抜擢し、着実に結果を残しています
こういった若手選手たちを育て上げているのが、12球団屈指とも称されているファーム施設の充実ぶりです。多数の育成選手を抱え、3軍を運営、そして着実にチームの戦力へと磨き上げています
そんな中で5月22日、ソフトバンクが昨年のMLBドラフト1巡目指名(全体8位)でアトランタ・ブレーブスから指名されるもコンディション面の懸念で契約に至らず、大学へ進学していたカーター・スチュワート投手と契約交渉を進めていると報じられました
ソフトバンクが昨年米ドラ1獲得へ 日米球界波紋も(日刊スポーツ)
ソフトバンクが異例の新外国人補強を進めていることが21日、明らかになった。昨年のMLBドラフトで1巡目(全体8位)指名を受けた大物有望株カーター・スチュワート投手(19=東フロリダ州立短大)と契約交渉を行っていることが判明。
今年6月のMLBドラフトでも上位指名が確実視される右腕で、日本球界入りが実現すれば“直メジャー”とは反対の“直日本”の珍しい事例となる。
ソフトバンクが米国のドラフト候補の獲得に乗り出す前代未聞の補強を行う。昨年のMLBドラフトで1巡目(全体8位)指名を受けたカーター・スチュワート投手と契約合意したと、米敏腕記者ローゼンタール氏が21日、情報筋の話として自身のツイッターで伝えた。
スチュワートは最速98マイル(約158キロ)の速球と137キロ前後の縦割れカーブを持ち、昨年ドラフトで大注目を集めた投手の1人。ベースボール・アメリカのドラフト候補ランキングでは38位で、今年6月3日からのドラフトでも1~2巡目で再び指名を受けることが確実視されていた。
昨年指名を受けたブレーブスとは契約交渉を行ったが、450万ドル(約4億9500万円)前後と予想されていた契約金を、身体検査で手首に懸念が判明したという理由で提示額は200万ドル(約2億2000万円)程度に抑えられ、7月上旬の期限までに合意に至らなかった。
ドラフト後には大物代理人スコット・ボラス氏と契約し、ドラフト入団ではなく即FAとなる道を模索したとも伝えられていた。ボラス氏は過去に、契約交渉のカードとして日本球界入りをほのめかすことがあったが、実際に日本球界入りを決めたとすれば、日米球界に波紋を広げる可能性もありそうだ。
今回は、カーター・スチュワート投手を紹介すると共に米ドラフトで上位指名が有力視されている右腕がNPB球団と交渉を進めているのかの考察、そして今後この流れがどうなっていくのかも考えていきます
昨年ドラフト1巡目(全体8位)指名 エース級の有望株と注目を集めていた
カーター・スチュワートは、アメリカ・フロリダ州出身の19歳
右投右打の投手です
フロリダ州メルボルンにあるアウガリー高校で2017年に13試合11勝2敗、防御率0.81、69.1回を投げて104奪三振の好成績を収めた事で、一躍MLB球団のスカウトから注目を集めます
2018年は11試合6勝4敗、防御率0.91、61.2回を投げて、128奪三振を記録し、全米から有望選手が招待される「パーフェクト・ゲーム」で好投を披露するなど潜在能力の高さを評価され、ドラフト1巡目上位指名が確実となっていました
2018年MLBドラフトでアトランタ・ブレーブスから1巡目全体8位で指名され、契約交渉に臨みましたがメディカルチェックの中で手首の怪我が見つかり、契約内容の見直しを巡って交渉が難航し、入団を拒否して翌年のドラフト対象選手となるために、イースタンフロリダ州立短大へ進学。
大学では13試合2勝2敗、防御率1.70、74.1回を投げて108奪三振を記録し、ドラフトに精通している「ベースボールアメリカ」のトップ500の中で38位と先述した手首の怪我の懸念がある中でも依然高い評価を受けており、今年のドラフトにエントリーすれば指名は有力視されていました
球種に関しては、最速98マイル(約157キロ)、平均147キロ前後を計測するストレート、137キロ前後で大きく縦に割れるカーブを主体にツーシーム、チェンジアップを投じています
特に高い評価を受けているのが、武器としているカーブ。今年計測されたカーブのスピンレートは平均3300を計測し、これは現役のメジャーリーガーの投げているカーブの回転数と比較してもトップレベルの数値を叩き出しています
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イメージよりも改善されたマイナーリーグ しかし球団ごとの情報格差はキャリアに大きな変動も
この報道が出た時にネットも含めて賑わせたのは、「マイナーリーグの環境は劣悪」というようなワードです。
確かに昔は「ハンバーガーリーグ」と揶揄されるほど食事環境が悪く、遠征の移動などもかなり苦労していた時期はあります。しかし時代も移り変わる中で、食事も栄養士が管理し、移動もある程度上のリーグであれば航空機を使うなど環境改善は進んでいます
ですがこれは球団によって変動する部分で、球団によっては依然苦しい環境もある事には変わりません
またマイナーリーグの選手達は、労働協定の範囲外として扱われているため換算すれば最低賃金以下で野球を続けているケースも多く、ドラフト上位指名選手や有望なアマチュア選手でもなければ、生活自体も困窮する可能性があります
またデータを活用した選手育成も進んでいますが、球団によって育成に関わる情報には大きな格差があり、入る球団によっては選手のキャリアそのものが変わる可能性があるとも言えます。
今回の場合は、19歳という年齢を踏まえれば一定数のマイナーリーグでのプレーは必要ですが、その期間に受けれる選手育成の方法は選ぶことはできず、施設環境も蓋を開けるまでは分からない事をリスクと感じたのかもしれません
一方で日本の場合は、アメリカとの間に米国内でプレーするアマチュア選手との接触や交渉を禁ずる規定はなく、自球団の環境や育成方法や方針などを説明する事や相手側の代理人などが丁寧に調査を進めた上で入団する球団を選ぶことは可能で、こうなれば選手としては所属球団が合わなかったという状況になる可能性を下げる事にも繋がります。
大きく実らせ、高く売る 名物代理人の壮大な計画か?
今回のカーター・スチュワートの代理人を務めているのはスコット・ボラス氏です
日本人選手のMLB移籍の際には代理人を務めることが多く、MLBの現役トップ選手やドラフト上位指名有力なアマ選手の代理人を務めるなど様々な契約交渉の経験がありますが、一方で新しい契約内容などを提示する事でも知られ、マリナーズへ移籍した菊池雄星の契約内容は日米ともに大きな話題になりました。
現状どのような経緯でスチュワートの日本行きが出たかは分かりませんが、仮にボラス氏が日本行きを推したと仮定した場合に浮かび上がるのは、スチュワートのドラフトでの指名順位やその契約内容にあると思われます
昨年のMLBドラフトでは1巡目全体8位で指名を受け、実際ブレーブスからは450万ドル(約4億9500万円)前後の契約条件が出されましたが、メディカルチェックで手首の懸念が見つかってからは200万ドル(約2億2000万円)にまで引き下げられ、今年のドラフトでも手首の懸念から指名順位も想定よりも低い可能性があります
ではなぜ日本球界へ挑戦させる判断を固めたのか?それは日本球界における投手育成能力を高く評価しているからではないかと考えられます。
メジャーに挑戦した日本人投手が一定数の活躍を見せている事もありますが、ここ数年NPBでプレーした助っ人外国人が出戻り後に活躍している事が挙げられます。
出戻りした選手がなぜ活躍しているのかという明確な答えはありませんが、技術面、適応力、異なるタイプ打者との対戦など野球への新たな視点を得られる事が大きいのではないかと考えられます。
あくまで想像にすぎませんが、NPBで実績と経験を積ませ、MLB球団との大きな契約を得ようという計画なのかもしれません
注目される契約内容 6年の大型契約の可能性も?
注目されるのは契約内容ですが、米記者のTwitterを引用する形で記事が出ています
ホークス入り報道の全米ドラ1右腕、6年契約で総額7億7000万円超 米記者伝える(full-Count)
ソフトバンクと契約に合意したと報じられた昨年の全米ドラフト1巡目のカーター・スチュワート投手。
昨年のドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)で指名されたものの、契約が合意に至らず、今年ドラフト再指名の資格を得ながらも、米球界ではなく、日本球界入りを選択するという決断を米メディアも驚きを持って伝え、ソフトバンクとの契約は6年契約、総額700万ドル(約7億7000万円)以上になるようだ。
米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者は自身のツイッターで、「カーター・スチュワートとソフトバンクホークスの契約は6年契約で700万ドル(約7億7000万円)以上と関係者が伝えている。19歳のスチュワートは日本のマイナーリーグでスタートする」と伝えた。まず、スチュワートはファームで日本でのキャリアをスタートさせ、経験を積んでいくことになるようだ。
プロ未経験の19歳の選手に7億円という用意したとなれば、凄まじい投資を行うという事になります。
また代理人のボラス氏は、過去に有望新人選手の起用法や練習方の制限などを要請して、容認されたという過去があり、今回の契約内容には起用法、練習法、年間通したイニング数や球数の制限も含まれている可能性があり、また総額7億円以上の投資をすると考えるならば、これまで認めてこなかったポスティングシステムを特例として認める可能性もあり得ます。
過去に前例のない異例の挑戦が、どのような経緯を進んでいくのか、そしてこのルートが今後の野球界にどのような変化をもたらすのか、今後の推移を見ていきたいところです
