2018年シーズンも優勝候補に挙げられながらも現在首位とは4.5ゲーム差の3位タイにつけている福岡ソフトバンクホークス
盤石と思われていた選手たちに故障者が相次ぎ、先発・中継ぎ共に手薄な状況となっています
そんな中で7月6日にソフトバンクが昨年シアトル・マリナーズで7勝を挙げたアリエル・ミランダ投手を獲得したと発表しました
【ソフトバンク】キューバ左腕・ミランダ獲得を発表 メジャー通算13勝
ソフトバンクは新外国人としてアリエル・ミランダ投手(29)=マリナーズ3Aタコマ=の獲得を発表した。メディカルチェックなどを経て正式契約を結ぶ予定。キューバ出身の左腕でメジャー通算44試合で13勝9敗、防御率4.72の成績を残した。
チームは絶対的な守護神のサファテ、岩崎を筆頭に故障者が続出。先発でも昨季最多勝に輝いた東浜や和田も離脱中。
首位西武と4.5差の3位タイにつけているが、2年連続のリーグV、日本一へ苦しい台所事情もあり先発、中継ぎともに経験のある左腕を緊急補強した。
「今回、福岡ソフトバンクホークスに入団することになり、この上なくワクワクしています。また、熱狂的なホークスファンの皆さんのためにホークスのユニフォームを着てプレー出来ることを光栄に思います。私、そして、私の家族もこのような機会をいただいた事に、とても感謝しており、家族みんなで今から福岡での生活を楽しみにしています。そして最後に、この2シーズン私に貴重な経験をさせてくれたシアトル・マリナーズに心から感謝申し上げます」と球団を通じてコメントした。
今回はソフトバンクが獲得を発表したアリエル・ミランダ投手について書いていきます
2017年はメジャーで7勝をマーク 力強いストレートが武器の左腕
アリエル・ミランダはキューバ出身の29歳
左投左打の投手です
2007年から2013年までキューバ国内リーグでプレーし、その後メジャーリーグでのプレーを目指して、亡命
2015年5月23日にボルティモア・オリオールズとマイナー契約を結び、入団
この年はルーキーリーグ、1A+、2Aとプレーして合計で14試合6勝3敗、防御率3.60を記録しています
2016年は3Aに昇格し、19試合4勝7敗、防御率3.93を記録し、7月3日のシアトル・マリナーズ戦でメジャーデビューを果たします
また7月31日には交換トレードでシアトル・マリナーズに移籍し、12試合5勝2敗、防御率3.54を記録
2017年は開幕ロースター、ローテ入りを果たすと31試合8勝7敗、防御率5.12と自己最高の成績を記録
2018年は開幕メジャー入りを逃し、4月17日にメジャー昇格して先発すると5回6安打1失点、4四球、5三振を記録するも翌日に3Aに降格し、3Aで10試合5勝0敗、防御率3.97を記録しています
球種に関しては
平均92.2マイル(約148.3キロ)のストレート、スライダー、スプリット、チェンジアップを投げていています
特にスライダーは空振り率が12.9%、スプリットが17.1%と決め球として機能している印象です
成績で読み解く
MLBでの成績
16年 12試合5勝2敗 防御率3.88 58.0回 被安打47 18四球 44三振
17年 31試合8勝7敗 防御率5.12 160.0回 被安打140 63四球 137三振
18年 1試合0勝0敗 防御率1.80 5.0回 被安打6 4四球 5三振
通算 34試合13勝9敗 防御率4.72 被安打193 85三振 186三振
3Aでの成績
16年 19試合4勝7敗 防御率3.93 100.2回 被安打95 31四球 87三振
18年 10試合5勝0敗 防御率3.97 45.1回 被安打44 24四球 40三振
通算 29試合9勝7敗 防御率3.95 146.0回 被安打139 55四球 127三振
上記がアリエル・ミランダのMLBと3Aでの成績です
際立っているのが2017年の活躍で開幕ロースター入りを果たし、シーズン通して先発ローテを守り、31試合で8勝、160イニングを投げている事です
正直に言えば持っているカタログスペックや実績を考えても途中加入で獲得できるレベルの選手の範囲を超えているといっても過言ではありません
ストレートに関しても平均148キロを計測し、スピンレート(1秒間にボールが何回転するかMLB平均は2200)も2441回転と高く、NPBではなかなかいないタイプのボールと言えます
また変化球についてみてみると
スプリット (MLB通算) 702球
被打率 .190(259-49)
三振数 116
空振り率 17.1%
チェンジアップ (MLB通算) 679球
被打率 .250(108-27)
三振数 7
空振り率 14.6%
スライダー (MLB通算) 163球
被打率 .080(25-2)
三振数 8
空振り率 12.9%
これを見るとスライダーが決め球として使われていて、チェンジアップをカウント球として使用し、スライダーも機能している事になります
気がかりなストレートの制球面と被本塁打率
気がかりなのはミランダのストレートの制球面と被本塁打率の高さです
上記の画像はミランダのストレートがどのコースに投げられているかを示したヒートマップです
これを見るとベルトから高めに投げる割合が高くなっている事が分かります
これを見るとストレートのコマンド(狙ったスポットに投げる能力)がかなりアバウトである可能性があります
またこのストレートのアバウトさが被本塁打率の高さに繋がっているようで
ストレート (MLB通算) 2109球
被打率 .257(439-113)
三振 55
空振り率 6.4%
zMov 10.7
被本塁打 33本
FB% 44.6%
HR/FB 19.0%
FB%も40%を超え、HR/FBも19%と高くなっています
原因としてはスピンレートが2400台であることがあり、スピンレートが高い場合はフライが上がる確率も高くなり、本塁打を打たれる可能性も当然高まります。
先ほどのストレートのコマンドのなさも失投となり、痛打されていると思われます
2017年は被本塁打率が2.08で160イニングを投げた投手ではMLB史上ワースト2位となってしまうなど、気がかりな点となりそうです
映像で読み解く
2016年8月4日レッドソックス戦 マリナーズ移籍後初登板映像
2017年4月17日マーリンズ戦 5三振を奪った映像
力強いストレートとスプリットで三振を奪っている事が分かります
ストレートが高めに浮いてしまう事はやや気になる点ではあるのですがスプリットをしっかりと使えており、またNPBでは珍しい球速のある左腕であることは大きなプラスです
途中加入と考えるとこれほどの人材を獲得できるというのもソフトバンクが持つ金銭面やサポート面の良さがあるのだと思います
また途中加入でこのレベルの選手が来日するのであれば、NPB進出を狙う選手が増える可能性も出てきたといえます
ソフトバンクとしても大きな戦力補強になったという印象です