【ボインマスターの神業】

私が27~28歳くらいの時の話です。

この時すでに銀座でサパークラブに勤めついた時のある日、とあるクラブのママさんとチーママさんがご来店されました。

しかし、このママさん達の担当者が遅刻していて店にいなかったので、担当者が出勤するまでのつなぎでそのママさん達の接客をすることになりました。

しかし、僕はこのママさん達とほとんど面識がなく、担当者が遅刻してい事に不機嫌で場がもたず、非常に辛かったです。

なんとかなだめるように時間を稼ぎ、担当者が来たのでようやく解放されると喜んでいたら、

「そんなに急いで席を立つこともないじゃない!」

とママさんに言われたので、暫く留まることになりました。

ママさん達が機嫌も悪いこともあって会話に事欠いてる中を、その担当者の人が急に何の脈絡もなく、

「ノリさんは“ボインマスター”なんですよ、ママ!」

と話を持っていったのです。

“ボインマスター”とは、私は自他共に認める巨乳好きで、良く周りから巨乳好きという意味の「おっぱい星人」と言われることがあり、そのフレーズが嫌で「おっぱい星人」と言われる度に

「おっぱい星人じゃ、ありませんから」

と否定をし、それでも否定しきれないときは

「“おっぱい星人”ではなく
“ボインマスター”ですから」

と半ばネタ的に返答していました。

そのことを会話に困って急に振って来たのです。

『おいおい、急にそんな無茶ぶりされても!』

と焦ってるパパに、ママさんは考える余裕も与えず、強い口調で、

「ボインマスターってなんなの?分かりやすく説明しなさいよ!」

と面倒くさそうに、ウケがとれなければつめていじめてきそうな感じで言ってきました。

諦め半分に開き直って、

「ボインマスターとは、巨乳好きの事を『おっぱい星人』っていうじゃないですかぁ。ボインマスターとはおっぱいのソムリエというか」

と説明を始めました!

「おっぱいをワインで例えたら、『おっぱい星人』はただのワイン好き!
『ボインマスター』はソムリエみたいな違いですね」

とおバカな説明も終わると同時に、

「だから!どうちがうのよ!なんなのソムリエって!」

と一括され、びびった私は

「ボインマスターは…あのぉ…おっぱいを…揉んで舐めて吸って舌で転がすとサイズからカップから産地と年代までわかるという…」

とその時に思い付いたことを適当に言っていたら、言い終わる前に今まで沈黙を守っていたチーママさんが急に

「じゃ、当ててみて」

と私の前に胸を張って来たのです!

大ピンチです!

困った私は

「いや、あの、それだけではわからないんですね。揉んで舐めて吸って舌で転がさないと…」

チーママさんはおそらく私に対し

『こいつ、つまんねー適当な事をいてるなぁ』

と思っていて、上手いことオチをつけられなければそれを理由にネチネチいじめるつもりだったのでしょう。
それを感じ取った私は先の言葉を言い

『おっぱいを揉んで舐めて吸って舌で転がさせたりはさすがにしないだろう』

と逃げに徹しようとしたのですが、それも見抜かれ、

「服の上からなら好きなだけ揉んでいいから、私の事おっぱいからわかる範囲で当ててみなさいよ。おっぱいを好きなだけ揉ますんだから適当な事言うんじゃないわよ!」

と、どんどん最悪の方向に向かって行きます。

「早く揉みなさいよ!」

と今度はチーママに一括された私は腹をくくっておっぱいを揉みました!

おっぱいを揉みながらどうしようか考えましたが、ずっと揉んでるわけにもいかないので数秒後には何か言わねばなりません!

困った私はもう諦めて、つめられるの覚悟で適当に何か言っとこうと

「青森産28年物ですね。服の上から揉むだけだったのでこれ以上はわからないし、青森産28年も正直、自信ないですね…」

と適当過ぎるグダグダな返答をしたらママさん達は唖然とし、暫く黙りこくっていて、私に無言の圧力をかけ罵声を浴びせるのかと思いきや、

「…な、なぜわかるの⁉」

と二人は天変地異が起きたかのように驚愕していたのです❗

私も担当者の人も暫くは状況がのみこめませんでした。

私達は

「え⁉」

「だから、何でわかるのよ!この人凄い!なんなのぉぉぉ!」

とママさん達は驚きふためいてます。

奇跡が起きたのです❗

神が降りたのです❗

状況を把握した私はすかさず、

「ボインマスターですから」

と見栄をきりました。

ママさんは本当に驚き感動したのか

「凄いものを見せてもらったお礼にドンペリ入れて❗」

と担当者の人はドンペリをママさんからいただきました。

チーママはお帰りになるまで私に不思議なものを見る目線でいました。

そして私はこんなミラクルは二度と起きないだろうと、もうボインマスターのネタを封印して、このバカな話は伝説になりました。