今日は「山崎冨栄の純愛」に続く太宰治シリーズ第2弾です。太宰治については数え切れないほどの回想録、研究書が出版されています。その中でも基本的な古典と言えば、親友、山岸外史が書いた「人間太宰治」でしょう。山岸外史、只者ではないです。まず顔が凄いです。ちょっと芥川龍之介に似ています。画像を持っているとお守りになります。その山岸外史が「人間太宰治」の中で太宰のフェバレイト作品として強烈に推しているのが「津軽」です。
「津軽」と言えば誰しも真っ先に思い出すのが感動のクライマックスシーンです。ここでの主役は実在の人物、越野タケです。タケは幼い日の太宰治の子守でした。大金持ちの家で下の方の子として生まれた太宰は、母親の愛情を知らずに育ちました。彼が本当に愛し、母性を感じたのは、子守のタケだったのです。初期の作品「思い出」の中に描かれています。私小説でも自在に変改してしまうのが太宰治という作家ですが、タケに関する記述は比較的事実に近いと推定されています。読む人はタケがけっこう大人な印象を受けますが、実際は10代半ばです。小さな子どもにとっては、母なる存在は大人なのです。
「津軽」では、そのタケとの再会が描かれます。舞台は北の果ての運動会の見学席です。一見素っ気なさそうなタケですが、途中から急に饒舌になります。太宰に対する愛情が一気にほとばしります。そこで太宰は全ての憂さを忘れ、絶対の平和の中に安らぐのです。読む人は、タケがおばあさんのような印象を受けますが、実際はそうでもないです。太宰の中の時間軸が、そうさせているのです。山岸外史が絶賛したのは、この絶対の平和です。無償の母性の美しさです。
「津軽」のこの場面は一般受けも良く、教科書にも取り上げられました。現地には二人の銅像さえ建っています。太宰の霊は閉口していることでしょう。しかし、昔からこの場面の美化に異議を唱える人はいました。
太宰の未亡人、津島美知子は著書「回想の太宰治」の中で、現実の太宰とタケの距離の遠さについて述べています。御互いによそよそしく、タケさんは奥さんに向かって平気で太宰批判を語ったというのです。これは、どういうことでしょうか。
私たちが若い頃は、まだ越野タケさんは御存命で、よくテレビに出てインタビューを受けていました。まあ普通のおばあちゃんです。太宰治に対するスタンスは素っ気ないです。しかし、それに騙されてはいけません。人間は、愛情が深ければ深いほど、強烈な照れが生じるものです。そこを割り引いて見なければなりません。テレビカメラの前のタケさんは、殊更素っ気なくしていました。そのテレビを意識してわざと硬くした表情の中で、目だけが、かつての「仮想わが子」に対する深い深い愛情を告白していました。
そんな人が、相手の奥さんの前で素を見せるわけがありません。恥ずかしいし、失礼です。太宰にしても同じことです。また奥さんに二人に対する嫉妬もあったでしょう。「津軽」の元となった現実の時間にしても、場所が郷里で、周りに警戒すべき相手がいなかったから、二人とも素直になれたのです。そして、こんな素直な作風はもうこれっきりという一世一代の覚悟で「津軽」のあの場面を書いたのです。それが、いつものテクニシャンの太宰をよく知っている、うるさい批評家山岸外史の心にグサッと刺さったのです。いや、人間とは面倒くさいものです。
ともあれ、戦いに疲れた人間が最後に帰っていくのは何の利害関係もない母性存在のところです。母性存在も、それが嬉しいのです。それは実母かもしれないし、子守かもしれません。人によっては、実在しない相手である場合だってあるでしょう。とにかく誰にでも「津軽」のクライマックスシーンはあるのです。それを上手くキャッチできれば、復活してもう一度戦えるのです。普通のおばちゃんが聖母になれる。それを証明したのが越野タケです。
さてさて、AKB48のメンバーがタケを演じるとしたら誰が一番適任でしょうか。余りにもベタだと思われるでしょうが、やはり高橋みなみさんが本命ですよね。彼女に「津軽」の粗野な津軽弁をしゃべらせてみたいです。タケの秘めた愛情を表現できるのはたかみなでしょう。タケのしつけの部分に焦点を当てるなら宮澤佐江さんが対抗でしょう。そして大穴としては、松井玲奈さんですね。皆さんれながそこそこ年を取って、モンペはいて津軽の運動場に座っている姿見たくないですか。妙にはまると思いますよ。
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太宰院マキ バサラエルボー代表 一児の母。長年エステ業界で苦労し、心を癒す究極のヒーリング技術を身に付ける。越野タケさんと松井玲奈さんを合成したような無償の母性愛の人。
芥川ケン バサラエルボー専任講師 義理と人情のカウンセラー。900回以上のセミナーをこなす。太宰治さんと高橋みなみさんを合成したような努力は必ず報われるということを人生で証明する人。
夏目魔弓 バサラエルボー幹事 さすらいの歯科医。イギリスをこよなく愛する文明批評の鋭い論客。山岸外史さんと宮澤佐江さんを合成したような熱血の行動派。