2006年5月下旬


12種類のジャガイモの食べ比べをしました。

大田市場で9年間ジャガイモを扱っている秋山さんが先生です。

◆基礎知識

分類:ナス科ナス属
原産地:南アメリカ
和名:馬鈴薯

日本には16世紀にオランダ人によって伝えられました。
主産地は北海道で、次に長崎・鹿児島と続きますが、日本全国で栽培されています。

◆種いもの育成・生産

健康な種いもを生育するため、元だねは、人里はなれた国の種苗管理センターで隔離栽培されています。その後、大量生産用に採種農家が栽培し、国の検査に合格したものが一般農家へ配布されます。流れとしては、“原々種(元だね)→原種→採種→育種”となります。

ジャガイモは品種登録(農林登録)されていなくても流通できますが、種いもは管理されているそうです。

◆栽培方法

私は知らなかったのですが、ジャガイモの栽培は、山の麓、中腹、頂上付近と時期によって場所を移して栽培しているところもあるそうです。例えば、8月は頂上付近、9月は中腹、10月~11月は麓で抑制栽培、というような形態です。

ジャガイモは土からの肥料をとても要求する根菜です。長崎の赤い皮のジャガイモのひとつで‘愛の小町’(登録商標)というブランドがありますが、これはジャガイモの栽培に適していると言われる赤土を客土することによって、皮の色が赤くなるそうです。但し、5年程経つと土は黒くなってくるので、山の上から赤土をもってきて、再度客土するそうです。

◆育て方

ジャガイモは、茎が肥大した「塊茎(かいけい)」で、エグ味の原因となる緑化を防ぐため、イモの部分に光が当たらないように土寄せして栽培します。(余談ですがタマネギは葉が肥厚したものです。)ジャガイモの表面にあるデコボコは、ジャガイモが大きくなってぶつかりあい、栄養分が均一に行き届かないためにできるものです。そのため、ストロン(イモがつながっているロープの部分)が長くなるように栽培するのがコツです。

◆栄養特性

主成分はデンプンですが、ビタミB1やC、食物繊維、カリウムなども多く含んでいて、「畑のりんご」とも呼ばれ、穀物と野菜の両方の働きをもちます。日本での飢饉時に役立ったことも頷けます。

また、デンプンの糊化によってビタミンCの溶出が防止され、加熱してもほとんど壊れないので、ヘルシー志向の方には心強い見方です。

ちなみに、ジャガイモのカロリーは米の半分だそうです!!

◆品種
トヨシロ
主にポテトチップスやフライドポテトの原料にされます
メークイーン
長卵形・グリコアルカロイド含量が多い・目は浅い肉質が緻密なので煮崩れしにくく、滑らかな食感で煮込み料理向きです。糖分が高いので焦げやすく、ポテトチップスなど油で揚げたりすると、よい色になりません。(家庭用なら、色がよく揚がらなくても問題ではないですよね。)
男爵
北海道の代表的な品種(食用)・粉質で粉ふきに好適
キタアカリ
男爵芋を片親として育成された品種・粉質・ビタミンCが多い・男爵より煮崩れしやすい
ホッカイコガネ
長楕円・味は薄いので料理全般に合う・フレンチフライに適している・「ゴールドメイ」はホッカイコガネの熟していないもの
デジマ
暖地二期作用・やや粉質・滑らかな皮
ニシユタカ
デジマから育成された品種・肉質はやや硬く串でさしても崩れない・“新じゃが”代表品種
アイユタカ
新品種(平成15年登録)・大いも・「デジマ」を母、「長系108号」を父・肉質は軟らかい・ビタミンCが多い・長崎の推奨品種
アンデス赤
表皮が赤く肉食が鮮黄色・粉質・カロチノイドが「セトユタカ」より格段に多い・「レッドアンデス」などの名称で販売
インカのめざめ
アンデス地域で高値で取引されている小粒種を改良した品種・粘質・荷崩れしにくい・栗のような風味でお菓子にも・肉色は「キタアカリ」より格段に黄色が濃く、澱粉価も高い

◆新ジャガとは?

新タマネギと同じくらい、春先に待ち遠しい新ジャガですが、秋以降でもスーパーで新ジャガをよく見かけることがあり、ずっと疑問に思っていました。今回お話を伺って、やっとその理由がわかりました。

新ジャガイモとは、ポテトチップス業界(※)以外では、明確な定義はないそうです。そのため、産地や業界によって定義は異なります。例えば、北海道では7月~8月に出回るもの、小売業界では九州産(長崎、鹿児島等)のジャガイモ、卸売市場では1月~4月に出回る九州産のもの。九州産だと、新ジャガイモがないのは8月~10月のみだったりします。なので、スーパーで見かけない時期の方が短いのも納得でした。ちなみに、新ジャガイモで未熟なものは、中身が出来上がっていないため、完熟したものに比べ味が劣るようです。

一般流通では、“にしゆたか”“デジマ” が新ジャガとしてメインで扱われていることが多いそうです。
(※)ポテトチップス業界では、新ジャガとは「完熟したもの」という定義があります。

◆選び方
  • 緑化していないものを選ぶのが一番重要です。
  • ふっくらと丸みを帯びていて、硬くて重い、傷がなく、デコボコしていないものが良いです。

◆保存方法

温度と光によってエグ味の原因となるグリコアルカロイド(チャコニン、ソラニン等)が増加するため、通気性が良いところで、光から遮断して保存します。(ジャガイモは茎の部分であるため、光に当てると光合成のために緑化してしまう。蛍光灯の光でも緑化する。)冷蔵庫で保存する場合の温度は3~5℃が適当。長期保存する場合は、リンゴと一緒に保存すると、リンゴから発生するエチレンガスによって発芽が抑制されます。

◆食べ頃

一般的には芽が出てくる前に食べるのがよいと言われていますが、芽が出始めた頃が一番おいしいとのことです。是非試してみてください。(八百屋でまけてもらえるかも!? 但し、芽は食べてはいけません。)
また、同じ品種でも時期によって味わいが異なるそう。興味深いです。

◆その他・豆知識など
  • デコボコ部分は養分がなくなっているので、食べるときは大きめにえぐり取ると良いです。
  • 越冬系は、やや泥臭いようです。


redmoon

お気に入りになったレッドムーン


No. 産地 品種・商品名 色味 味・食感・見た目 価格の
目安
備考
1 鹿児島 新じゃが 癖がなく食べなれている味 600g
270円
2 静岡 三方原 500g
300円
好み○
3 北海道 越冬男爵 味は他に比べて薄かった 1kg
1600円
4 北海道 越冬
北あかり
3 ヤーコンみたいな食感? 1kg
1600円
5 北海道 越冬黄金 密度が濃い 1kg
1600円
6 北海道 越冬レッドアンデス 2 かぼちゃの味に近かった。
うまみが後からくる
1kg
1600円
7 北海道 インカの目覚め 1 サツマイモ・栗に近い味 3kg
2250円
一番色が濃い黄色
8 長崎 ニシユタカ
有機栽培
中が白く皮が
しっかりしている。
1kg
150円
9 長崎 アイユタカ
有機栽培
皮が薄い。サラダにすると時間が経ってもしゃきしゃきして食感が良い 1kg
170円
皮ごと料理したい
10 長崎 メークイン
有機栽培
パサついていたが、
後から甘みがくる
1kg
200円
11 北海道 レッドムーン 4 甘みがすぐくる 5kg
1250円
煮っ転がしなど煮物が合いそう好み◎
12 鹿児島 ゴールドメーク


aiyutaka


‘アイユタカ’を使った「しゃきしゃきサラダ」です。

◆ご参考:アクリルアミドについて

2002年にスウェーデン政府は、イモ類を高温で焼いた、あるいは揚げた食品中に、アクリルアミド(重合されていない状態だと神経毒性・肝毒性・発がん性を有するもの)が含有されていることを発表しました。ただし、毒性ははっきりしていなく、リスク評価が国際的に進んでいるのが現状です。

◆食べ比べを終えて

沢山のジャガイモを見ていたらカレーが食べたくなったので、お土産で頂いた‘アイユタカ’を早速使って作りました。皮もおいしそうだったので、皮つきで使いました。切ったときにとてもみずみずしく、火のとおりも早く、ふかふかなのに滑らかな食感でとてもおいしかったです。ワークショップでも、‘アイユタカ’はお湯をくぐらせただけでサラダとして活用できることもわかり、色んな場面で活躍してくれそうです。色々なジャガイモを使って、先生がおっしゃっていたそばつゆでの煮物にも挑戦したいと思います。

先生のお話の中で「芽が少し出てきたくらいがおいしい」というのが新たな発見でした。いつも、芽が出てくると慌てて食べていたので、今度からは味わって食べたいです。

どの野菜や果物にも通じることだと思いますが、ジャガイモも、今日食べたものと1ヵ月後に食べたものとでは同じ品種でも味が異なるようです。せっかく今回ジャガイモについて勉強できたので、同じ品種で時期を変えて、食べ比べを実践してみようと思います。