こんにちはバルコアです。

 

4、季節と食物

月令に云ふ、春は麦と羊とを食(くら)ふと。

麦は*孚甲*あり、故に木に属す。

羊は火の畜なり。

春気猶ほ寒し、これを以て性を安(やすん)ず。

夏は*菽(まめ)と鶏とを食ふ。

菽は孚甲ありて堅く、水に合す。

鶏は木の畜に属す。

故に熱き時の食するところとなす。

中央は稷と牛とを食ふ。

稷はこれ穀の長。

牛はこれ土の畜、その甘和を以て、故に時に象る。

秋は麻と犬とを食ふ。

麻は金に属し、犬も亦金の畜なり。

故に秋に従ふなり。

冬は黍と豕とを食ふ。

黍は舒散して火に属し、豕は水の畜なり。

その水・火を兼ねて、以て冬の食となす。

これこの五食の義は同じからざることあり。

春は猶ほ寒(さむ)ければ温(あたたか)きを食ふ。

夏は方に熱ければ寒きを食ふ。

この意解すべし。

苦・甘は、味和す。

故に時に随ひて適用す。

これも亦解すべし。

秋冬の両食は、これ応(まさ)に宜しく熱かるべきに、熱からざる所以は、その故何ぞや。

若し蔡邕*(さいよう)が解に依らば、直(ただ)食の味、相ひ宜(よし)と云へば、則ち復(また)疑なし。

若し鄭*が解に依らば、則ち誠に未だ尽さず。

今鄭*が言を広(ひろ)む。

 

〇麦は・・・安ず 礼記月令の鄭玄注。以下、月令の句の後は、鄭玄注。

〇孚甲 種子のうわかわ。表皮。

〇夏は・・・ 礼記月令の句、以下、同じ。

〇蔡邕 後漢の学者。月令章句の文。

〇鄭 後漢の学者、鄭玄のこと。礼記月令注の前に挙げた文。