こんにちはバルコアです。

 

先ほどの新入社員のわかったことは、このことが理解できたことなのだ。

商談を成立させるために ”卓” を使うことを ”卓入(たくいり)” と呼び、修行の第一においている。

商売のどこで ”卓入” を行うか、これに上達したものがまことの商売人といわれる。

つまり ”卓入” とはお客に眠らさない催眠術をかけることなのだ。

 

具体的にはどのようなことなのであろうか。

いま、実例にもとづき考えてみよう。

ある商品をお客に販売しようとしているのだが、どうしてもお客がのってこないときの例を考えよう。

ここからいよいよ卓入に入るのである。

 

「お客さん、わかりました。もう商売の話はやめましょう。お互いに求めているものが異なるのだからあきらめましょう。ところでお客さんとは初対面ですがなにかウマが合いそうな気がします。少し雑談でもしましょうか。お客さんは地獄と極楽の話を信じますか」

「何かね、地獄と極楽とは」

「いや私もお寺の和尚さんから聞いた話なんですがね。地獄と極楽とはこの世にあるのだそうですね」

「・・・・・・・」

「人間同士助け合って生きているのが極楽で、お互いに足を引っ張り合って生きているのが地獄というらしいですね」

「・・・・・なるほど。」

「たとえば両腕を後ろで結ばれているので、自分で食事をすることができません。そこでこの2人にスプーンを持たします。食事を下に置いておきますと、1人が後ろ向きにスプーンで食事を取り1人に食べさせれば両方とも食べることができるのです。しかし地獄にいるものはけっしてそのように考えず、食器に口で食べようと思い、顔をつっこみます。するともう1人の男も負けじと顔をつっこむので、頭と頭がぶつかり両方とも食べることができないのです」

「なるほど、なるほど」

「このようなことを地獄というのだそうですね」