こんにちはバルコアです。

 

「みなさん! あそこのおみやげ屋はそこにもあるここにもあるという店とは違います。全国から感謝状が寄せられているお店なのです。ここで買い物をした人はかならずお金を送ってまた商品を送ってくれと言ってくるのです。しかし品物がいつも間に合わず売り切れのときが多いのです。きょうはちょうど全商品がありますので、あなたがたは大変幸せです。順序よく買うのですよ。押し合ってはいけません。それでは、おみやげを買いなさい」

 

この一言で観光客は、ドドッと先を争い、おみやげ屋になだれこみ買い物をすることになる。

ちょっとしたことであるが、この商法には催眠の原理が上手に組み込まれている。

 

バスから降りた観光客は、史跡の見学ということに注意が集中している。

またバスから降りたということでホッとしたところを、マイクでがなりたてられる。

 

そこで列を作って並ばされ、座らせられることにより自我意識が薄らぐのだ。

ありがたい史跡の話を聞いているうちに威光暗示でおばさんまでが、偉く見えてくる。

いろいろな史跡を回りながらおばさんの説明を聞いているうちに、観光客は完全におばさんに注意を惹きつけられてしまうのだ。

 

史跡の説明を受けることにより、たんなるおみやげ屋のおばさんと観光客の関係が先生と生徒の関係になってくるのだ。

そして最後におばさんからおみやげ屋の話を聞くと、すっかり信用しきり、我勝ちにおみやげを買うということになってくる。

 

もちろん、このおばさんは催眠術を習い意識的に催眠の手法を用いているのではない。

 

長年の経験と頭の良さから、人間心理を見抜き商売にしているにすぎない。

しかしこの商法は、まぎれもない催眠商法であるところは間違いないところである。