こんにちはバルコアです。

 

彼は催眠術の実験と共に動物催眠なども行い、世人の注目を浴びたが、現代でも催眠術を信じない人々のいる中で、明治の人はいかほど驚いたことであろう。

 

その後、近藤嘉三『心理応用・魔術と催眠術』、花沢浮州『催眠術新論』、加瀬神州『諸病治療体力養成呼吸術』などがあらわれ、催眠術のブームが起きるのである。

本格的な学術書としては1906年に出版された福来友吉の『催眠心理学』があげられる。

 

これらの書により催眠の研究は活発になりつつあったが、新しい議論が生まれてきた。

それは催眠術を法律的にどのように扱うかという問題であった。

この問題をめぐり、明治37年、東京帝国大学に医学・文学・法学の学者数十名が数回にわたる会合をひらいたが、その結果、催眠術は人体になんら悪影響がなく、誠意さえあればなんら問題はないという意見が多数を占めたのである。

 

これらの意見書にもとづき、内務省は「催眠術を誇大に扱う必要はなく、この問題は不問とする」との見解を発表した。