花の研究といえば栽培法や花壇作り、フラワーアレンジなどの
利用法が思い浮かびますが、かつてこんな研究もしていました。
これはラバテラという草花。和名はタチアオイ。
人の肩の高さ以上に伸びるきれいな花です。
ここに6種類の花がありますが、元はまったく同じ品種。
それなのに花色や模様などがずいぶん違っています。
また開花時期も早いものと遅いものでは1ヶ月以上も違い、
草丈も30cmぐらいと極端に矮化したものもあります。
変化の理由は突然変異。理化学研究所の協力を得て
重イオンビームによる突然変異育種に挑戦したのです。
突然変異は自然界においては宇宙線が偶然に植物の二重螺旋構造を
切ることで発生しますが、その確率は何千年から数万年に1回。
しかし巨大な加速器でイオンをぶつけるこの技術を用いるとすぐできます。
さらに遺伝子組み換えではなく、自然界の現象を再現する方法なので
育種した植物を栽培するのに隔離などをする必要がありません。
欠点は変異する箇所、変異させる方向を制御できないこと。
FLORAはキキョウの重イオンビームによる突然育種をしましたが
とても鑑賞に堪える姿にはなりませんでした。
でも市販されている黄色い桜はこの育種法から誕生したもの。
「世界にひとつだけの花」という歌もあり、
夢のあるとても楽しいプロジェクトだったのを覚えています。
確かこの写真はその年の年賀状になったはずです。
来週から2学期。今年もそんなワクワクする研究をしたいものです。