
名久井農業高校には学校設定科目がいくつかありますが
そのひとつが農業科目の「農業経営シミュレーション」。
生徒に畑を貸し出し、自分の好きな作物を栽培してもらうとともに
自由に販売してもらい、最後はその成果を競うというユニークな科目です。
デビューは2000年頃の三本木農業高校農業科。
相棒の先生と1年間の予備実験をしながら2年かけて完成させました。
農業の教員なら誰でも一度は考えたことがあるアイデアですが
それを科目としてきちんと構築するにはそれぐらいの時間がかかるのです。
整理していたらこんな古い資料が出てきました。
よく見るとこの科目を全国に初公開する際に作ったものでした。
口頭発表したのは東京の大きなホール。鮮烈デビューです。
その数年後には教科書会社から指導書としても出版されました。
資料は校正の赤ペンがたくさん入った当時の生々しい資料です。
デビューした科目は大反響を呼び、全国からノウハウを学ぼうと
たくさんの先生方が来校されたのを覚えています。
生徒自身が栽培、マーケティング、加工、経営分析と報告はもちろん
課題解決やコミュニケーション力などさまざまな力を統合して取り組む内容は
科目としてはかなり高度。最上級生の3年生向けに設定しました。
誕生から20年以上も経ちますが、今なお元祖である三本木農業高校はもちろん
名久井農業高校の生物生産科で現役科目として活躍しています。
また環境システム科が新設される際は、名前を「起業チャレンジ」に変えて
学科の柱として水耕栽培用に再構築されました。
県の期待は大きく、起業チャレンジ専用の温室が作られたほどです。
古い資料には当時の不安と期待と緊張感がまだ残っています。