毎年3月11日が近づくと思い出すことがあります。
これは震災約1ヶ月前のTEAM FLORA PHOTONICS。
場所は第2農場。当時あった園芸科学科の草花温室です。
彼女たちが行っているのは、冬の鉢花の代名詞でもあるプリムラの人工受粉。
右側が2年生。左側が当時Jr.の1年生です。
学年が違う彼女たちが一緒に制服で作業していることからこれは授業ではなく
放課後の自主的活動であることがわかります。
実はこの日、温室で咲いている西洋サクラソウであるプリムラを人工受粉して、
自分たちの花を咲かせる遊びを思いついたので急遽メンバーを招集。
すると生徒会長や農クの役員だらけで忙しかった当時のメンバーですが
この日は偶然ノースケジュール。たくさん集まってくれました。
プリムラは雄しべの長い長柱花と短い短柱花が半々で存在します。
そのため人工受粉を行うにはちょっとコツが必要なのです。
わいわい話しながらも作業を通して、彼女たちはコツを身につけていました。
この1ヶ月後に被災。そして5月には、彼女たちはサクラソウの人工受粉のために
種差海岸に彼女たちは立つことになります。限られた時間の中、
長柱花と短柱花を見極めてテキパキと作業を進められたのは、
まさにこの日の遊び体験があったからです。
なぜプリムラの人工受粉を思いついたのか、そしてみんな集まったのか?
昔よくみんなで話をしたものですが、当時の答えは女神FLORAのおかげ。
神話では花の女神であるFLORAは、自分の子供が亡くなった時、
あまりに哀れに思い、その姿をサクラソウに変えてしまいます。
東日本大震災はサクラソウの危機。つまりFLORAが我が子を救出に行くのは
当たり前のこと。もしかしたら女神FLORAの見えない力で
私たちは震災前から行動していたに違いないというのが結論でした。
サクラソウ救出劇の影にはたくさんの奇跡が隠されています。