
これも忘れられないポスターのひとつ。
2016年、植物学会で発表した「フキのシュウ酸低減技術の研究」です。
担当したのはある男子。他のメンバーはサンパチェンスによる空気浄化など
ちょっと華やかな研究をしていましたが、彼のテーマはこのように地味。
さらに彼は無口ではありませんが、人前で発表する姿を見たことがないので
学会でもどうなるかと他のメンバーが心配するぐらい。
するとどうでしょう。すべて研究を理解し、生き生きと
ディスカッションしているではありませんか。
これには彼をみくびっていた他のメンバーもびっくりです。
大会は新潟で開催されたため、FLORAは帰りの新幹線の都合で表彰式に参加せず
途中退席しましたが、数日後、学会から入賞したので賞状を送るとの連絡。
何と彼の研究が優秀賞に入っていたのです。
彼の研究はフキを葉だけ出し、茎をすっぽりオガクズや籾殻に埋めて
遮光栽培することでシュウ酸の含有量を低減させるユニークなもの。
3月下旬に始めて5月には実験終了という超スピード研究でした。
その結果は大成功。籾殻から出したフキの茎はなんと半透明。
分析に出すとシュウ酸は、生食するレタスやトマト以下。
フキはシュウ酸が多いので生食できず、水煮が一般的ですが
彼のフキは生食できるのです。シャキシャキとした食感は新感覚。
名付けて「サラダフキ」の誕生です。一発逆転。みんなから称賛された彼は
その勢いで京都大学で開催されたテクノ愛でもグランプリを受賞。
一躍、チームを代表とする研究となりました。
彼が卒業したため栽培することもなくなったサラダフキ。
でも馴化温室周辺には彼のフキが今も残っています。