
昨年のまだ雪が降る前の話です。
名農が誇る大型水耕温室で面白いものを見つけました。
どう見てもこれはレタスや小松菜などの葉菜類ではありません。
フローラのメンバーたちが園芸の授業で植えたというので
質問してみると、なんとこれはビオラ。
パンジーよりも小ぶりの花を咲かせる草花ではないですか。
かつて草花のナスタチウムを水耕で育てていた名農生はいました。
しかし彼らは、ナスタチウムを辛子味する食材として捉え、
サラダで食べる花「エディブルフラワー」として栽培していました。
ビオラもエディブルフラワーになるのですが、
彼らの話によると、これは食べるためのものでないといいます。
なんと今まで使ってきた養液をそろそろ廃棄したいので
残っている窒素などの栄養分を草花に吸収させているのだそうです。
つまりビオラをスポンジ代わりに、吸い取らせているのです。
よく見るとビオラに混ざってレタスや水菜も同様の目的で植えられています。
なんだか葉の色が薄くて養分不足だと思いましたが、これで良かったんですね。
水耕栽培の大きな問題のひとつに、この廃液処理があります。
排水口に廃棄してしまえば、大量の窒素やリン酸が流れ出てしまうからです。
光触媒などで分解させるなど、いろいろな取り組みはありますが
これぞという解決策はまだありません。
植物に吸わせて薄めて処理するというユニークな発想。
水問題の新しいアプローチになるかもしれません。