これは2012〜2013年頃の草花班時代の研究です。
古いパワーポイントの中から見つかりました。
発表テーマは「植物に魔法をかける」。
どんな魔法かといえば、草花に理化学研究所が開発した
ブラシナゾール(Brz)という薬剤を散布し、光感受性を高めてしまうというもの。
当時はまだ市販されていない薬剤で、理研と協力して農業への可能性を探っていたのです。
薄暗い中でも、光を感じるようになると長日植物では開花が早まります。
またキクのような短日植物であれば逆に開花が抑制されます。
彼女たちはいったい何日ぐらい開花に変化があるのかを探りました。
2009年に結成したTEAM FLORA PHOTONICSはLEDを駆使して
植物の生育などに影響を与え、農業に役立つ技術を次々と提案していました。
ところがこのアイデアは照明、つまり伝家の宝刀であるLEDを一切照射することなく
光を感じさせるというもの。これなら節電にもなるし光害もありません。
FLORAの究極の光マジック。だからこんなテーマになったんですね。
しかしこの研究に取り組んだのは2010年の2代目FLORAの女子メンバーです。
ではなぜ彼女たちではなく、後輩たちが発表したのでしょう。
これには理由があります。研究途中の彼女たちは東日本大震災に遭遇したのです。
サクラソウを救出しなければならないと考えた彼女たちは、すべての研究を休止。
無我夢中でサクラソウの救出、そしてマイクロバブルによる除塩活動に明け暮れます。
結局、ほぼ結果が出ていましたが、発表する機会のないまま卒業してしまいました。
そんなことで後輩たちが後で追加試験を行い、数年後に発表したというわけです。
さらに後輩たちは先輩の指導で活動したサクラソウやマイクロバブルの研究をまとめ
水の国際大会にも初出場しています。たくさんの財産を残して卒業した
2代目FLORAの幻の研究でした。